一般社団法人パチンコ・チェーンストア協会(金本朝樹代表)は2月20日、TKPガーデンシティ・プレミアム神保町(東京都千代田区)において第59回公開経営勉強会「IR整備推進法とパチンコ・パチスロ依存問題」を開催し250余名が参加した。同勉強会は、一般社団法人 日本遊技関連事業協会、一般社団法人 日本遊技産業経営者同友会、一般社団法人 余暇環境整備推進協議会の後援のもと、ホール4団体が連携した。
当日は西村直之氏(RSN代表)が基調講演を行った。西村氏は、平成28年12月15日に成立したIR推進法を契機として、IR実施法案の動きと連動した「ギャンブル等依存症対策基本法」案が国会審議されようとする中、新年度4月を合図に、パチンコ業界は急ピッチで依存対策を迫られるだろうと述べた。
【要旨】法案成立の付帯決議において「カジノにとどまらず、他のギャンブル・遊技等」と明記され、遊技であるパチンコが含まれた。しかも厚生労働省内に初めてとなる対策推進本部が設置され、具体的な対策の協議がはじまった。現状、言葉の定義すら明確となっていない「ギャンブル等依存症」にパチンコ業界は振り回されない事が肝要。パチンコの周辺で起こってくる(社会の不安)健康の障がいの遊技者をどう対策していくか。ただ法案として明文化される段階にあって、未だ定義が明確とはなっていないギャンブル等依存症に対して、自治体、事業者等の「責務」と規定した点は重大。「努力義務」ではなく、より厳正な対応が求められてくる。この事からパチンコ業界は、ギャンブル等依存症基本法と風営法の両方で規制される事になるだろう。(国民・自治体等から)幅広い目で依存症対策がなされているか監視される事にもなる。今回のギャンブル等依存症対策に求められているのは、IR実施法のための法律という点。今は無いカジノが数年後に開業する前に、国民のギャンブル等依存症の不安を払拭するための対応と成果が求められている。現実的に考えると国の求める成果とは、既存の公営競技、パチンコの抑制対策と、とらえられる。最善は、参加者内の問題保有者を減らしていくという取り組みに知恵を絞っていく事になろう。遊技業界がやるべき事は、行政に対してだけでなく、国民そして遊技者にメッセージが届くようにしたい。例えば「こういう遊び方をしてもらえませんか」といった、国民にも見える取り組みに努めて、認めてもらう成果にする事が望ましい。「回収撤去が終わったばかりで大変でしょうが、真の大衆娯楽を確立するため最前線でお客さんと接するホール1店1店にかかっています」とRSNの広報徹底含め協力を呼びかけた。
その後、西村氏の他、木曽崇氏(国際カジノ研究所)、力武一郎氏(セントラルカンパニー社長・大分遊協理事長)、吉村泰彦氏(JCMシステムズ・社長)、藤田宏氏(エンビズ総研)によるシンポジウムでは「カジノ到来時代にパチンコ・パチスロ依存問題に遊技業界は何をすべきか?」に意見を集めた。
【要旨】「ギャンブル等依存症」という定義は未だ明示されていない中、業界はその対応を迫られている。業界の場合、日常の営業の中でどうやって過度にのめり込んだ遊技者を判別し対応する事ができるか意見を出し合った。依存(のめり込み)問題への対応は、ビジネスに直結しないというような業界の考えではいけない。過度にのめり込んだお客様に対して、支援の手を指しのべないならば、業の衰退を暗示している。機械、営業時間、入店、広告宣伝の規制の強化、あるいは教育、問題啓発の取り組みなど抑制策を視野に「これまで数値化されてこなかった事柄についてまず着手する時」(西村氏)とした。「ギャンブル等の業種はすべて、依存症対策の財源拠出は当然覚悟しなければいけない」(木曽氏)。「パチンコ独自の回復支援の道をつくる時。各店にお客様相談係を養成配置する、遊技機開発にホールも積極的に意見を述べる」(力武氏)等、法案審議のスピードに負けない、そして国民にも理解される業界対応が迫っているとした。