一般社団法人MIRAIぱちんこ産業連盟(東野昌一代表理事)は8月25日、オーラム(東京都台東区)を拠点としてオンラインにより、第3回MIRAI公開経営勉強会(共催/一般社団法人ぱちんこ広告協議会・PAA)を開催し、200名余の参加があった。
「デジタル化社会を見据えたぱちんこの広告宣伝ルールの在り方〜広告宣伝が担う遊技産業のMIRAIの可能性〜」として、第1部「他産業における事例紹介」ビール酒造組合・板垣武志専務理事、日本たばこ産業(株)東京支社社会環境推進担当・吉田祐介氏らの講師陣が講演した。第2部「広告宣伝ルールの過去、現在と未来」と題してパネルディスカッションを開催し、三堀清弁護士(三堀法律事務所・所長)、大島克俊理事長(PAA)、諏訪直人理事(PAA)、柳井猛晶参与(PAA)、生島靖也氏(MIRAI法律・規則部会長)が登壇した。
板垣専務理事(ビール酒造組合)は、「ビール業界における広告宣伝の社会的課題と対応」について話した。ビール業界では、広告・宣伝・表示の自主基準を定めており、ビールメーカーの社会的責任を自覚し、法律の趣旨に則って、20歳未満の飲酒を防止、女性の飲酒に関する適正な飲酒啓発活動等を行っていると説明した。吉田氏(日本たばこ産業)からは「たばこ(加熱式含む)の広告(包装・広告・販促等)にかかわる自主規制(指針)」について説明。「世界の動向、日本の動向を受けながら基準を設けて対応してきました。世の中の状況を受けながらその都度対応していく事に変わりありません」とした。より社会とのつながりを進めていく(たばこを吸う人吸わない人含めた)取り組みとして、事業活動を通じたSDGsにつながる目標(新たな視点で地域貢献)を掲げ、実施状況を報告した。各講師の講演は、法律だけでなく、自分たちの業界を良くするための自主規制・基準を設け、社会的要請に業界内で連携していったことが共通していた。
第2部「広告宣伝ルール」についてディスカッションを開催。生島法律・規則部会長はこの10年で業界を取り巻く環境の激変があった中で、広告宣伝規制のルールに大きな変化がなかったとして、見直すべき時期にあるのではないかと問題提起した。柳井参与からは広告宣伝規制が明文化されるに至った経緯を挙げ、不特定多数への広告行為の垂れ流し、広告宣伝に関する業界内のエビデンスの希薄さを指摘。三堀弁護士からは、問題提起されている平成24年の細かな広告宣伝規制が定められた背景について、「健全化がキーワードだと思います。業界の自浄作用が働かなかったのが一因」とした。
現在、インターネット・SNS等による宣伝行為については、法的には立ち遅れている状況ではないかとして、広告宣伝を提供する事業者の立場から大島理事長は、自らガイドラインを制定して取り組んでいる事を報告した。「今後の広告宣伝ルールのこれから」について、基本は許可営業であるパチンコ営業は風営適正化法に基づいている事を再認識。法律・規則部会のこれまでの協議では、『射幸心』がキーワードとして、遊技機の性能を正しく伝える広告宣伝のあり方を提起した。「法令に反する行為を連想させる広告、あおり広告、客観性のない誤解をあたえるような広告は当然不可。そして自主規制においては、あおり広告、客観性のない誤解をあたえるような広告に関して、より詳細な制限やルールを定める事で抑止できるのではないか」と自主的なガイドラインを設ける運営を示した。
参加者からは「パチンコ業界の歴史・規制の背景など細かいことについてはわからないが、当面の対処だけでなく、5年、10年後のパチンコ業界のビジョンが見えればと感じた」と感想意見があった。その後、大島理事長が閉会のあいさつを行い、「広告のできない業界に未来はあるのかという問題意識です。その意味でも広告と規制について問題意識を継続して携えていきたい」と述べた。