IR*ゲーミング学会(谷岡一郎会長)は11月29日、大阪商業大学・本館6階大会議室において、第11回シンポジウムを開催した。
第1部ゲーミング部会においては、「絵双六〜その起源と庶民文化〜」と題して桝田静代氏(絵双六研究家)による基調講演。長い歴史をもつ絵双六、13年に及ぶ桝田氏の双六調査と絵双六の構成要素であるコマの詳細な考察を基に絵双六の起源や特徴を紹介。曼荼羅や寺子屋、親子、女性 の生き方、竜宮など多様な分野を反映し、しかもゲーム感覚で様々な体験や知識も得られる双六の世界を紹介。特に幕末期の女性たち、その多様な生き方が映し出された「新販女庭訓振分雙六」を通して、女性の生き方についても示唆に富んだ内容となった。
第2としてIR部会においては、まずシンガポール国立依存症サービス管理機構のDr.Christopher副会長を招き、シンガポールにおける問題賭博行動への取り組みについて聞いた。引き続き「政策論としてのギャンブル依存症問題」と題してパネルディスカッション。佐々木一彰氏(日本大学専任講師)のコー ディネーター、三宅隆之代表(セレニティパークジャパン)、佐藤拓院長(成瀬メンタルクリニック)、大谷信盛氏(元衆議院議員)、美原融学会副長のパネラーで進行した。「ギャンブル依存症」の疑いある人が、国内に536万人いるとする推計を厚生労働省研究班が発表して以来、536万人という数値のみが一 人歩きしている状況、どういった対策すべきかに意見を出し合った。
谷岡会長は「536万人がギャンブル依存症という発表の原典を探したが、なんと49文字しか記述がなかった。それをもとに記者発表された。その根拠となる数値は公開されていない。公開質問状を出しても答えてくれない。研究者のひとりとして、536万人だけが一人歩きしていることを非常にいぶかしく思っている。ギャンブル依存症については、国のいろいろな機関が連携して対処していくべきと考える。私達は、学術研究、調査、海外での 事例等、長年研究してきた。ただし、私たちはカジノを作るために研究活動をしているのではない。もし、IR施設を日本につくるのであれば、より良いものを作ってほしい。そのためには役立ちたい。IR法案がどうなるかわかりませんが、よりよい我が国のIRになるよう研究活動は今後も行なっていく。」とIR*ゲーミング学会の活動意義を述べた。
谷岡会長