クロス 5回目となる四国エリア内セミナー開催

四国を中心にホール向けの総合商社を営む(株)クロス(本社/香川県高松市)は11月10日、高松市のサンメッセ香川において、5回目となる「クロスセミナー」を開催した。

同社の藤井弘樹社長によると、四国エリアではこれまで、業界コンサルタント等によるセミナーが開かれた事がなかったそうだ。エリア内のホールは海に囲まれた立地によって、中々外気を取り入れにくい環境にあり、悪く言えば閉鎖的な営業環境下に置かれている企業も多いという。その様な背景を受けて同社では、刻々と変化する市場環境に対し、大局的な見地を取り入れる事でエリア内の営業に繋げて欲しいとの思いを込めて2年前より、有志を募りホール向けのセミナー会を設立。四国中から多いときは60名以上のホール関係者が訪れ、5回目を迎える今回も大勢の受講者が足を運んだ。

【お手軽にカフェドリンクを!】
セミナーは3部構成で進行した。第1部は現在、大阪でカフェ経営と教室を開講しているプロのバリスタ・木村英樹氏によるコーヒー講座だ。コーヒーワゴンサービスをはじめ、ホール内で最も飲まれているコーヒーを、プロの指導によって更に美味しく提供するためのノウハウが伝えられた。シアトル系コーヒーチェーンの台頭によって、近年はコーヒーの味にこだわりを持つユーザーが増えている。木村氏によると、5年、10年先にはその傾向はより顕著なものとなり、コーヒーの味で店選びをするユーザーが更に増えてくるという。

そして、ホールにおいてもコーヒーの味が一つの差別化に繋がるとし、セミナーではエスプレッソマシンを使用して、淹れ方の基本やラテアートの手法などを実演を交えて説明した。特にラテアートは普及のスピードが早く、カフェでは現在、必須技術となりつつあるそうだ。ホールで提供する場合でも、店名やロゴなども描く事ができ、従来には無いサービス提供が可能となる。カフェではユーザーがラテアートを写真に取り、SNSで拡散する事で集客に繋がるケースも多いという。木村氏はワンランク上の味、そしてラテアートによる楽しさを提供する事で、新たな集客に繋げて欲しいと語った。

【ムダ・ムラ・ムリをなくし2017年をビジネスチャンスに変える方法論】
第2部は小出総合研究所の小出泰生代表が講師を務め、2016年の成功例と2017年の戦略が述べられた。小出代表ははじめに2016年の成功例として、総付景品やポイントを活用したプロモーションで稼動を伸ばした店舗や、機種選定において重要視した計数管理のポイントによって、キャッシュフローアップが図られた例などを紹介。回収撤去に向け、粗利の低い機種を通常入替により撤去する事で、特別な予算を必要とせず安定した稼動とキャッシュフローを実現した店舗もあったという。

2017年の営業戦略については、今後は稼動の柱と粗利の柱を分けて考える事が大切だと語った。これまで人気ハイスペック機でブランディングを図ってきた店舗は多いが、来年からはそれが難しくなる。今までの看板機種が無くなる事で、ユーザーの店選びも見直され、客離れの懸念と共に集客のチャンスも起こると予測した。海物語系や北斗無双、今後登場するビックコンテンツ、更には低貸コーナーを薄利で運営し稼動の柱にする事、そして、粗利の柱として辛いスペックの機種を選択する機種戦略が必要だと小出代表。年末年始の仕掛けが来年以降の営業を左右すると語った。

【5.9号機と今後のスロットの方向性】
第3部ではパチスロメーカーの(株)パイオニア・マーケット戦略室の上田裕晃氏が講師を務めた。来年10月1日以降より新規設置が始まるパチスロ5.9号機について、メーカーの視点でその概要を説明した。主な特徴は3点。①役比モニタの搭載②指示機能に係る基準と区間分類について③2種BB中技術介入要素担保だ。中でも最大1500ゲームというリミットが搭載された「有利区間」(≠ART)の説明においては、通常区間から有利区間への移行抽選に際し、抽選契機となる小役・ボーナス等、更にはART中のG数上乗せ等に設定差を設ける事ができず、ARTに関する性能は全て全設定共通となる事が伝えられた。

その為、実質的にART主軸タイプの開発が現在困難である事。A+ART機に関しては、有利区間への移行抽選のあるボーナスと、無いボーナスを用意して、設定差を移行抽選の無いボーナスで設定したタイプが登場するのではと予測した。パイオニアが得意としているAタイプ開発に関しては、2種BB(RBなど)に技術介入要素を持たせなければならなくなった事から、特定箇所の目押しで獲得枚数増加を図るゲーム性の搭載が必須となるそうだ。また、RTに関してはナビを表示させるRT(例/HANABIなど)については規制対象となる。いずれにせよ、射幸性は全機種タイプで下がる事が予想されている。上田氏は低設定での“事故”と呼ばれる一撃が出にくくなり、中間設定以上の設定の使い方が重要になると述べた。