財団大遊協 奨学生がVRで防犯体験

公益財団法人 大遊協国際交流・援助・研究協会(上浦文雄理事長)は12月14日、大阪市中央区のホテルプリムローズ大阪において、奨学生親睦交流会を開催。 財団が援助する奨学生27名に加え、奨学生OBや各大学事務担当者等、合わせて約60名が参加し、親睦を深めた。

財団は設立より28年目を迎える。奨学生5名への援助を皮切りに、これまで実人数で400名、25カ国39大学の留学生を支えてきた。設立翌年よりスタートした交流会は、奨学生同士が交流を更に深める事で、国際理解・協力の礎となる事を願い開催されている。

開会に先立ち登壇した村上昭徳専務理事は、財団の成り立ちや活動などを改めて振り返ったのち、今回の交流会に際して財団が連絡先を把握している奨学生OB100名に出席を募ったところ、18名の参加があったと報告。東京、千葉、埼玉、神奈川といった遠方からの参加もあり、謝辞を述べた。そして、「年末は犯罪や交通事故が発生しやすく、また、体調も崩しやすい季節です。『自分の身は自分で守る』という事を心がけて生活して下さい」と語り挨拶とした。

交流会ではマジックを通じて交通安全指導等をボランティアで行っている坂本哲也氏によるマジックショーや、大阪府警察本部の府民安全対策課によるVR機器を使用した防犯体験などが行われた。外国人に対して防犯啓蒙活動を行う際、言葉の壁が大きく立ちはだかっている。財団では留学生の日本での暮らしを防犯の面でもサポートしており、この様な課題を解決すべく体験で防犯啓蒙活動が行えるVR機器5台を今年、大阪府警に寄贈した。

体験会では希望者を数名募り、特に女性の留学生に夜道の危険性を伝えるべくVR体験プログラムを行った。体験者はヘッドセットをかぶり、家路につく女性の視点を共有。スマホに気を取られて後ろへの注意が散漫になった女性が、エレベーターを降り、玄関のドアを開けたと同時に不審者が侵入してくるという体験行った。「知らないうちに男性が接近して恐かった」「歩きスマホの危険性が分かった」と映像体験を終えた留学生。言葉ではなく、体験を通じて防犯意識を大きく高めた。

大阪府における平成30年中の強制性交等、ならびに強制わいせつの認知件数はいずれも全国ワースト2位を記録している。体験会の後に行われた府民安全対策課の担当者によるセミナーでは、強制わいせつの発生時間帯や場所、主な手口などを紹介するとともに、①暗い道の一人歩きは避ける②「ながら歩き」しない③防犯ブザーの携帯④帰宅の際、周囲を確認するといった具体的な防犯対策を伝えた。

懇親会では上浦理事長が乾杯の発声。奨学生たちが今後、母国と日本の架け橋となるよう期待を寄せ、杯を高らかに上げた。奨学生同氏だけでなく、OBや大学関係者、財団職員のそれぞれが、国や年令、立場などの垣根を取り払い酒食を楽しみ、交流を深めた。懇親会中にはOBによる体験発表や、奨学生主体で実施するビンゴ大会なども行われた。