西日本を中心に発生した平成30年7月豪雨によって、岡山県の真備地区(倉敷市)においては広範囲が冠水するなどの被害を受けた。同地区内ではパチンコホールが2店舗営業しており、その内、山佐直営店である「エンドレス真備」(パチンコ120台、パチスロ174台)では、遊技機全台が水に浸かり、休業を余儀なくされた。
真備地区において大雨特別警報が発令されたのは7月6日(金)の22時頃だった。同店ではその3時間ほど前から発令されていた避難準備等の警報に従い、遊技客に理解を促しながら19時30分頃に閉店、23時にはスタッフ全員が帰路についていた。1級河川・高梁川水系の支流が決壊したのは23時頃。決壊からすぐに地区全体が冠水した訳ではなく、店舗は翌7日の朝6時頃までは浸水しなかった。警報が続くようであるならば営業中止となる為、7日は早朝よりマネージャーの藤本悟志氏が出勤。しばらく様子を見るべく店舗で待機していた。しかしながら、6時半ごろより店舗への浸水がはじまり、インターネットも不通に。携帯電話も繋がりにくい状態が続いた為、避難を開始して身内の元へ駆けつけたという。
堤防が決壊した地域付近は特に浸水が早く、例えば藤本氏の上司であるゼネラルマネージャーの山本弘之氏の自宅は深夜1時ごろより自宅が浸水し、家族と共に車で避難を開始した。同店のスタッフは3名ほど自宅が浸水被害にあったが、全員無事だった。7日からしばらくは携帯電話による通話やLINE等も繋がりにくい状態にあり、部長の中島大道氏を中心にSMS(ショートメールサービス)によって安否確認が取られた。全員の無事を確認後、水が完全に引いた7月10日、可能な限りのスタッフで店舗に集まり、被害状況を確認した。
浸水は地上6mにまで達していた。山佐直営店の象徴とも言える入口上部に描かれたケロットのイラストには、目の半分の位置にまで水が浸かっていたようで、その跡が残っている。店内は遊技機、島もろとも水没し、天井までは達しなかったものの、上層部にまで上がった水が波を打ち、天井に斑模様のよごれを残していた。水が引いた後の店内は細かい粒子の泥に覆われていた。同店スタッフやエンドレス事業本部所属社員の手によって、泥とともにホールチェアや玉箱などの備品を廃棄処分すべく店外に運び出され、警報発令の1週間後となる7月13日には店内は島と遊技機を残すのみとなった。
取材日現在(13日)においてインフラは水道のみかろうじて使えるものの、電気・ガスはまだまだ復旧途中。その為、電子キーで管理されている遊技機を開閉する事ができず、専門業者に依頼して扉を開けた後、島からはずして撤去すべく段取りが組まれていた。営業再開の目処はまだまだ立たない状況だが、何よりも地域との共生を大切にしたいと山佐(株)執行役員の吉國純生氏。被災地において優先して復旧すべきは家屋であったり、住民の生活と密接に関わる商店であるべきだと語る。
その様な思いもあり、7月15日より同店の駐車場の一角を、炊き出しや飲み物の提供、支援物資の受付などに役立てる為、岡山みらいライオンズクラブに開放。また、近くにボランティアの集合場所などがあり、トイレ不足が問題となっていた事から、簡易トイレの設置も行った。所属する岡山県遊協の玉島支部からは水やパンといった支援物資が届けられたが、同店のみで使用せず、ライオンズクラブを通じて地域住民に配布するなど、地域一体となって復興に向けて歩んでいる。