行政講話 年内に撤去対象遊技機が市場から無くなるよう、業界として最善の努力を要請

一般社団法人 日本遊技関連事業協会(庄司孝輝会長)は6月9日、ハイアットリージェンシー東京において、第27回通常総会を開催。席上、大門雅弘課長補佐(警察庁)は、小柳誠二課長のメッセージを代読し、射幸性の抑制と適正管理の実現を最優先課題としたなお一層の健全化を要請した。特に回収撤去問題では、年内に撤去対象遊技機が市場から無くなるよう、業界として最善の努力を要請すると共に、具体的な期限を設けた声明を発表するなど、撤去実現のための具体的な行動に期待した。

(1)射幸性の抑制に向けた取組み
(2)いわゆるのめり込み問題をかかえている方への対策について3点(依存のめり込み問題ガイドラインについて、RSNについて、児童の車内放置事案防止について)
(3)遊技機の不正改造の絶無について
(4)遊技くぎの問題について
(5)遊技機の流通における業務の健全化について
(6)ぱちんこ営業の賞品に関する問題について3点(賞品買取事犯について、賞品の取りそろえの充実について、適切な賞品提供の徹底について)
(7)広告・宣伝等の健全化の徹底について
(8)ホールにおける置引き対策について

行政講話 「日遊協が遺憾なくリーダーシップを発揮して、各関係団体を牽引してほしい」

本日は、一般社団法人日本遊技関連事業協会の第27回通常総会にお招きいただき、お話しする機会を頂いたことに厚く御礼申し上げます。

まず、ご列席の皆様方におかれましては、平素から警察行政の各般にわたり、深いご理解とご協力を賜っているところであり、この場をお借りして御礼申し上げます。引き続きよろしくお願いいたします。

皆様方におかれましては、庄司会長の下、業界の横断的組織というその特色を発揮され、遊技機の不正改造防止対策、射幸性を抑えた遊技機の開発・設置等、遊技客が安心して遊技そのものの面白さを楽しんでもらうための努力を続けられ、業界をリードしてぱちんこ産業の健全化に尽くされてきたものと承知しております。

昨年には、業界関係14団体を会員とするパチンコ・パチスロ産業21世紀会の活動として、貴協会が遺憾なく主導力を発揮していただいたことにより、「パチンコ店における依存(のめり込み)問題対応ガイドライン」や「同運用マニュアル」等を速やかに作成していただいたことについては、業界の健全化に一定の成果を収めたものと頼もしく感じております。

また、東日本大震災への復興支援ボランティアを始めとし、里山造成事業、清掃活動等様々な社会貢献活動を継続して行ったほか、依然として社会的な課題となっている電力問題を含めた環境問題についても、省エネ対策を始め、積極的に社会的責任を果たそうとご尽力され、相応の実績を上げてこられたものと思います。

しかしながら、依然として、のめり込みに起因すると思われる各種問題や、賞品買取事犯、遊技機の不正改造事犯、違法な広告宣伝・賞品提供等が後を絶たないなど、ぱちんこ遊技の健全化を阻害する要因が残されていることも事実です。そのような状況下において、昨年中も、国会等においてぱちんこ遊技客の依存問題が取り上げられるなど、ぱちんこ産業に向けられる国民の視線はこれまで以上に厳しくなっております。

貴協会におかれましては、このような業界を取り巻く厳しい現状に危機意識を強く持っていただき、ぱちんこ業界が抱える各種問題を解消できるよう、貴協会を始め業界が一致団結し、早急かつ着実に対処していただきたいと考えております。

そこで本日は、業界の健全化を推進する上で特に必要であると考えていることを何点かお話ししたいと思います。

■射幸性の抑制に向けた取組について
ぱちんこ産業の現状について申し上げますと、公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書2015」によれば、平成26年中の市場規模は24兆5千億円、ぱちんこ遊技への参加人口は、1,150万人となりました。市場規模を遊技人口で割ってみますと、一人当たりの年間遊技費用の概算が算出されますが、200万円を超える遊技費用となり、依然として高額の費用を遊技に投入するいわゆるヘビーユーザーに頼った営業が続いているものと推察されます。あくまで一例ではありますが、業界の皆様にあっては、こうしたヘビーユーザーに偏った、いわば射幸性頼みの営業が、果たして、ぱちんこにのめり込んでいる方を家族に持つ方々を始めとして、多くの国民の理解が得られるものかどうか、改めて考えていただきたいと思います。「客が射幸性の高い遊技を求めるのだから仕方がない」という言い訳は、これだけぱちんこ依存を問題視する声が大きくなった現状においては、もはや通用するものではありません。ぱちんこ営業が「射幸心をそそるおそれのある営業」である限り、射幸性の適度な抑制は、健全な営業であるための不可欠な条件でありますが、今の営業実態とぱちんこに対する国民感覚とは大きく乖離しているのではないかと危惧しております。

そのような状況の中、昨年来、行政講話等様々な機会を通じて、各業界団体に対し、射幸性の抑制に向けた取組をお願いしてきたところ、メーカー団体が新たな遊技機基準を設け、ホール団体としても、その基準に該当しない遊技機について、原則として認定申請を行わないこととし、段階的に当該遊技機の設置を減らしていく目標値を定めていただきました。現在、業界において目標の実現に向けた努力が進められているものと承知しておりますが、その実現に必要な業界団体間の調整を含め、今後も貴協会が業界全体をリードしていただきたいと思います。また、今後市場に投入される遊技機についても、適度に射幸性が抑えられたものとしていく必要がありますが、その製造・開発をメーカー任せにすることなく、遊技客が手軽に楽しめるという観点に立った要望・意見を、ホール側から製造業者側に提案していくことが効果的ではないかと考えております。貴協会におかれましては、それらの射幸性抑制のための取組が、実際に遊技台の前に座るユーザーに届く対策となり得るのかという尺度で見極め、実効的な射幸性抑制策の実現に向けて、各関係団体を牽引する役割を担っていただきたいと思います。

■いわゆるのめり込み問題を抱えている方への対策について3点
1点目は、昨年、21世紀会として策定していただいた「パチンコ店における依存(のめり込み)問題対応ガイドライン」及び「同運用マニュアル」についてです。ぱちんこ店におけるのめり込み問題については、遊技を提供する立場にある業界において、自ら積極的に取り組むべき課題として認識され、対策の検討が進められていることが重要だと認識しております。この業界を挙げた取組の目的は、のめり込みを未然に防止し、のめり込んだ人が抱える問題解決に寄与するとともに、その家族を始めとした関係者の理解を得ることでもあると承知しておりますが、その実現には、このガイドライン等がどのように現場で運用されるかが重要であると考えております。実際にガイドライン等を運用していくホールの現場への指導教育を今後も継続して実施していただくことに加え、必要があれば、ガイドライン等を更に実践的なもの、効果的なものに改定していくことも視野に入れるなど、今後とも適切なフォローアップを随時実施していただきたいと思います。

2点目は、認定特定非営利活動法人リカバリーサポート・ネットワークについてです。同法人に寄せられた平成27年中の電話相談件数は2967件であり、依然として電話相談を必要としている方の存在がうかがわれる状況にあり、引き続き、業界全体で同法人を支援していく必要があります。昨年8月には、全国遊技機商業協同組合連合会において、リカバリーサポート・ネットワーク支援室を立ち上げ、相談業務の負担軽減に寄与していると聞いており、のめり込み問題への取組の重要性が業界の中でも浸透してきたとして、大変心強く感じております。貴協会におかれましても、引き続き、広報ポスターの掲示等、営業所内外における広報啓発等の取組を推進することで、ぱちんこに問題を抱える方に対し相談窓口の門戸が開かれていることの認知度を高めていただくとともに、同法人の事業活動に関する負担を考慮し、更なる支援をお願いいたします。

3点目は、児童の車内放置事案防止についてです。各ホールを始めとした各業界関係者が広く取組を継続した甲斐もあり、昨年中の死亡事故の発生は認められなかったところでありますが、巡回活動等により例年数十件もの児童の発見事案が継続していることを考えれば、予断を許さない状況が続いているものと言わざるを得ません。本年も、これから暑い時期を迎えますが、油断することなく各種未然防止対策を積極的に進めていただきたいと思います。

のめり込み問題は、ぱちんこ遊技の負の側面と言われることもありますが、この負の側面から目を背けることなく、問題解決に積極的に取り組むことが業界の社会的責任であることを自覚していただき、先にお話しした射幸性の抑制に向けた取組と相まって、引き続き業界全体で真摯に対応していただきたいと思います。

■遊技機の不正改造の絶無について
近年の不正改造の手口は、周辺基板のロムのプログラム改ざん等を偽造ケースや疑似カシメで隠蔽するなど、ますます悪質巧妙化しております。このような厳しい状況の中、貴協会ではこれまでも精力的に不正改造防止対策に取り組まれ、業界としても不正改造情報の収集やこれを活かした不正に強い遊技機づくり等の様々な取組を推進し、一定の成果が挙げられているものと承知しておりますが、このように悪質巧妙化している不正事案に対しては、ホール、メーカーという垣根を取り払い、事案の情報共有や有効な防止対策を業界全体で模索し、効果的な施策を推進していただきたいと思います。

また、一般社団法人遊技産業健全化推進機構の活動については、本年で10周年を迎えたとのことであり、業界の健全化に欠かせないものとして、その役割の大きさを皆様も実感しているところではないかと思います。活動開始以来、立入検査店舗数が昨年度末時点で2万2千店舗を超え、検査台数も実に15万6千台に上る実績を有することに加え、この立入検査を端緒に検挙に至った事例も多数あり、様々な形で成果を挙げております。このような有意義な取組である推進機構の調査に対する業界の理解は、徐々に深まってきていると感じておりますが、一方で、未だに推進機構の活動に対する理解が低いホールもあると聞いております。推進機構の活動が効果的に行われるためには、推進機構に対する各店舗ごとの理解が不可欠でありますので、立入検査を拒否したり、妨害するような行為は、不正改造の根絶を目指す業界全体の取組に逆行する行為であるとの共通認識を更に広め、業界全体で不正改造の根絶を目指す気運を高めていただきたいと思います。警察といたしましても、引き続き、推進機構と積極的に連携しつつ、不正改造事犯に対しては、厳正な指導・取締りを推進してまいりたいと考えております。

■遊技くぎの問題について
遊技くぎに関する問題の経緯についてはご承知のとおりですが、昨年11月に当庁からホール関係5団体に対し、検定機と性能が異なる可能性のある遊技機について、可及的速やかに撤去をするよう要請したことを受け、本年1月、貴協会を始めとする14団体の連名により、業界を挙げて当該遊技機を可及的速やかに回収・撤去を行うことの声明の発表がなされたところであります。

その後、日本遊技機工業組合から、本年2月と3月の2回に渡り、回収対象遊技機として45型式約14万台が発表され、各ホールにおいては、営業所に設置されたそれらの遊技機の撤去が進められていると承知しております。残りの回収対象遊技機については、当庁から早急に回収対象遊技機を調査して発表するよう日工組に働きかけており、今後近いうちに、日工組から残り全ての回収対象遊技機が発表されるものと思いますが、貴協会にありましては、それらの回収対象遊技機が一刻も早く市場から撤去されるよう、遺憾なくリーダーシップを発揮していただきたいと思います。当庁としては、年内に撤去対象遊技機が市場からなくなるよう、業界として最善の努力をすべきと考えておりますが、貴協会にありましても、具体的にいつを期限に撤去するという声明を関係団体とともに発表するなど、撤去の実現に向けた具体的な行動を取っていただきたいと思います。

その上で、撤去・入替を進めていくに当たり、各営業者の正しい理解が必要となりますので、ご承知のこととは思いますが、重ねてお話しさせていただきます。著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置して営業することについて、風営適正化法違反となることは言うまでもありませんが、仮に製造業者が出荷段階でそのような遊技機に該当する性能変更に関与していたとしても、営業者がそのような遊技機を設置し続けることは、営業者として風営適正化法違反となる行為となります。製造業者の関与があるからと言って、営業者の風営適正化法上の責任が免責されるわけではありません。今後、円滑な撤去を進めていくに当たり、新しい適正な遊技機を順次導入していくことが有効でありますが、撤去対象遊技機の設置にこだわる一部の営業者は入替に躊躇することも考えられます。しかしながら、検定制度上、検定機どおりの性能の遊技機を設置することが求められていることからすると、撤去対象遊技機をそのまま設置し続けることは、制度上許容されていないばかりでなく、極端な場合には、風営適正化法が禁止する著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置していることにもなりかねないことを正しく理解していただきたいと思います。

また、当然のことですが、撤去対象遊技機の入替として新たに設置した遊技機について、検定機どおりの性能のままホールにおいて営業の用に供することとなるようお願いいたします。いくら撤去対象遊技機を撤去したからと言って、入れ替えた遊技機を、撤去対象遊技機と同様に、検定機と異なる性能で営業の用に供するのであれば、今回の取組も健全化に資するものとはならないのは言うまでもありません。

残念なことですが、撤去対象遊技機におけるメーカーの問題とは別に、ホールにおいて遊技くぎを曲げて検定機と異なる性能を創出する事案は、未だに継続して発生しております。昨年6月の講話においても、そのような事案は、射幸性の適正管理を侵害する悪質な不正改造事案であると申し上げておりますが、それ以降も、客寄せ等営業者側の都合により入賞口付近のくぎを開け閉めしていた事案が発生しているところであります。今回のくぎの問題を通じて、業界としてきちんと襟を正すためには、単に撤去対象遊技機を回収して新しい遊技機を導入するだけでいいはずはありません。日工組によれば、今後販売される適正な遊技機のベース値は30台程度のものが想定されておりますが、この本来の性能を不当に変更することなく営業の用に供されることが、当然求められております。

今回の問題における日工組の再発防止対策の一つとして、本年4月以降に販売された型式遊技機については、付属される取扱説明書において、各入賞口に玉がどの程度入るか等遊技性能に関する情報を記載する取組を開始しておりますが、それらをぜひ積極的に活用していただきたいと思います。ホールとしては、メーカーから届いた遊技機が本来の性能どおりかどうかの確認に利用できますし、メーカーとしても、ホールに設置された遊技機の入替や部品交換の際に、本来の性能どおりかどうかの確認に利用できることとなります。この確認の最大の目的は、実際に遊技客が遊技をする際の遊技機の性能が不当に変更されることを防止することにありますが、このようにホールとメーカーが相互にチェックする取組を定着させることにより、業界内において射幸性の適正管理を実現する土壌を整えるきっかけとしていただきたいと思います。そのためには、新たな遊技機の設置以降はくぎの問題を再び生じさせないとの意識が、メーカー、ホールの枠を超えて、業界の方々に広く定着することが必要であると思います。貴協会におかれては、正しい認識を各会員に理解していただくよう周知徹底を図ることはもとより、業界全体をリードして、くぎの問題の解決に向けて積極的に尽力されることを期待いたします。

■遊技機の流通における業務の健全化について
昨年の講話でもお話ししたとおり、遊技機の設置や部品交換に伴う手続きにおいて、メーカーが作成する保証書に関し杜撰な取扱いが立て続けに判明したことに加え、不正に改造された遊技機が営業所に設置される事案が発生していたことから、当庁からメーカー団体に対し、遊技機が各営業所に流通する過程においても型式の同一性が担保される制度の構築と、その運用に関するルールの明文化を要請しておりましたが、貴協会のご尽力等もあり、メーカー団体において、「製造業者遊技機流通健全化要綱」及び「遊技機製造業者の業務委託に関する規程」が制定され、本年4月より施行されるに至りました。

今後、この規定に基づく運用を各現場において定着させる必要があるかと思いますが、新たな制度ということもあり、個々の現場において不慣れな対応によるミス等が生じることも予想されるところであります。流通に携わる関係業者が正しく制度を理解するよう、繰り返しの研修の機会を設けるなどの取組を継続していただくとともに、個々の運用を通じて制度の不備等が考えられる場合には、必要に応じて制度の更新も視野に入れた上で、遊技機の流通における健全化を一層図っていただきたいと思います。

また、この保証に係る制度運用を厳格に実施することは、射幸性の適正管理の実現につながるという意味で、くぎの問題と無関係ではありません。

本年4月以降に販売された型式遊技機については、部品交換の際、変更承認申請に係る保証書の担保として、くぎの状態が検定機と同一かどうかの点検確認をメーカーが一台一台実施することとなっております。貴協会におかれましても、くぎ問題の是正を契機として、保証書の厳格な取扱いが遊技機の射幸性の適正管理に必要不可欠であり、検定機として遊技機を営業所に設置し、都道府県公安委員会の承認を得ている以上、検定機と同一の構造・性能の遊技機を置かなければならないことを改めて認識していただきたいと思います。以上の趣旨を十分に踏まえた上で、遊技機流通の現場において円滑に運用がなされることで、業界の更なる健全化に資することとなることを願っております。

■ぱちんこ営業の賞品に関する問題について3点
1点目は、賞品買取事犯についてです。近年の賞品買取事件の検挙件数について、歯止めがかからないこと等を受け、昨年4月に、風営適正化法に関する処分基準のモデルの一部を改正し、現金等提供禁止違反及び賞品買取禁止違反についての量定基準の見直しを行い、営業停止の基準期間を3月相当に引き上げたところであります。

しかしながら昨年中の賞品買取事件の検挙件数は13件となっており、依然として多くの事件が検挙されている状況が続いております。

賞品買取行為の規制は、ぱちんこ営業と賭博の一線を画す非常に重要な規制であり、ぱちんこ営業の根幹に関わることを、業界内で今一度周知徹底していただき、賞品買取事犯の絶無を期していただきたいと思います。

2点目は、賞品の取りそろえの充実についてです。賞品の取りそろえの充実については、平成18年に業界の取決めとして「ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの充実に関する決議」がなされたものと承知しておりますが、現在においてもその履行状態は不十分であると認識しております。皆様方におかれましても自ら立てた目標がいまだ達成されていない状況を真摯に受け止めていただき、更なるご努力をお願いしたいと思います。

3点目は、適切な賞品提供の徹底についてです。賞品の提供方法については、等価交換規制がなされていることはご承知のことと思いますが、残念なことに、依然として、一部の営業者がこの等価交換規制に基づかない賞品交換を行っており、行政処分等厳しく指導・取締りを継続している状況にあります。適切な賞品を適切に提供するということが業界の共通認識となりますよう周知徹底に努めていただきたいと思います。

■広告・宣伝等の健全化の徹底について
広告・宣伝等に関する違反については、依然として、特定の日に特定の遊技機を示し、イベント開催を告知して射幸心をあおるものや、くぎを開く等の違法行為の宣伝に関するもの、隠語を用いて規制の目をかいくぐろうとするような悪質な事案が発生しております。このような違法な広告・宣伝等については、今後も指導・取締りを行っていきますが、警察の指導・取締りによって健全化が進められるのではなく、業界全体で認識を改めていただき、業界自らの取組によって広告・宣伝等の健全化が進められるよう努めていただきたいと思います。

■ホールにおける置引き対策について
置引き対策につきましては、これまでにも効果的な取組についてお願いをしてきたところでありますが、昨年3月に21世紀会として「置引き防止マニュアル」を策定していただき、現在も業界を挙げて同マニュアルについての研修や実践が各地域で進められているものと承知しております。しかしながら、昨年中のぱちんこ営業所等における置引きの発生件数は8,082件であり、全体におけるぱちんこ営業所等の占める割合は22.1%と増加している厳しい状況にあります。貴協会におかれましては、マニュアルの策定に満足することなく、これを十分にホールに浸透させるとともに、ホールがより効果的に活用できるよう、必要に応じてマニュアルの改訂も視野に入れながら、更に強力に防止対策を推進していただきたいと思います。

ぱちんこ産業は、遊技人口が減少傾向にあるとは言え、なお、非常に多くの方々が参加している娯楽産業であります。課題は山積しておりますが、くぎ問題への対策を含め、射幸性の適正管理を最優先課題として位置付けるとともに、その他の課題についても、一つ一つ迅速かつ真摯に対応していただくことはもちろんのこと、その結果が世間から評価されるということにこだわっていただきたいと思います。その実現なくして、ぱちんこは健全な遊技たり得ないと考えます。今後のぱちんこ業界の皆様のご努力に期待いたします。

結びに、貴協会のますますのご発展と皆様方のご健勝、ご多幸を祈念いたしまして、私の話を終わります。

ご静聴ありがとうございました。