(株)矢野経済研究所(本社/東京都中野区)は9月3日、「パチンコ関連機器市場に関する調査結果2012」を発表。本調査は、2012年5月〜7月に、同社専門研究員がパチンコ・パチスロ機メーカー、周辺設備機器メーカーなどを対象に直接面談やヒアリング等を用い、パチンコ関連機器市場の調査を行ったもの。(以下抜粋)
■調査結果の概要
2011年度のパチンコ関連機器の市場規模は1兆3,631億円(メーカー売上金額ベース)となり、前年度比で102.9%、390億円のプラス成長であった。市場規模全体の6割を占めるパチンコ機市場は前年度比93.1%、約600億円のマイナスとなったものの、パチスロ機市場は前年度比130.8%の急成長を遂げた。本格的に回復を遂げたパチスロ機の稼動状況を背景に、大型販売機種が増加したことが貢献し、パチンコ機、パチスロ機を合わせた遊技機市場は辛くも前年度割れを回避した。2012年に入ってもパチスロ機の販売は好調であり、引き続き、市場全体を下支えするものと考える。
一方、2011年度の周辺設備機器市場では、2010年度と同様にパチスロ機に関する機器市場が伸長し、メダル計数機を含む計数機市場は前年度比117.5%、メダル補給システム市場は同149.9%、台間メダル貸機市場は同155.3%となり、折からのパチスロ機の増台機運がこれら市場を力強く牽引した。パチンコホールでのこの動きは2011年後半から2012年初頭までがピークであったとされるが、2012年後半に入っても、お盆、年末年始の商戦期に向けた大手中堅のパチンコホール経営企業の新規出店、既存店のリニューアルが増加することで、安定した市場環境が維持されるだろう。パチスロ機関連の機器を扱う各社では、少なくとも、2012年末頃までは良好な業績が続くものとみている。パチスロ機関連の機器市場が好調な一方で、不調から脱しきれないパチンコ期に関連する機器市場は概ね厳しい状況にある。特に、玉計数機は前年度比81.6%、台間玉貸機は同88.3%と、どちらも前年度を大きく下回る。台間玉貸機はパチンコでの低貸玉営業の増加、各台計数機の増加によって2008年度までは良好な業績が継続していたが、3年度連続で縮小傾向が続いている。
このように、パチンコ関連機器市場は過去からパチンコ機、パチスロ機の間での揺り戻しを繰り返して、市場規模を維持していた。その動きは年々短期化しており、この数年では揺り戻しが起こるたびに市場規模全体が縮小するという負のスパイラルに突入している。パチンコ機が悪ければパチスロ機で稼ぐ、またその逆もしかりで、市場におけるこの補完関係はもはや崩れているといえる。