泉佐野市 「ギャンブル依存症の現況と対策」セミナー開催

IR(Integrated Resorts)誘致に積極的に取り組む大阪府泉佐野市(千代松大耕市長)は3月30日、市民をはじめとする大阪府下の人達に、IR導入に対する懸念事項の一つである『ギャンブル依存症』に対しての正しい理解を求める為、大阪府泉佐野市の泉佐野市立文化会館において「IR勉強会 ギャンブル依存症の現況と対策」と題したセミナーを開催。当日は約40名が会場に集まった。

セミナーは第1部「ギャンブル依存症の現況とギャンブル依存症対策法案を見据えた取り組み」、第2部「弁護士からみるギャンブル依存症のリスク〜大切な家族と自分を守るために」、第3部「海外におけるギャンブル依存対策の実例〜ギャンブル教育と入場制限」の3部構成。第1部ではギャンブルやアルコールなどに対する依存症回復施設を運営する一般財団法人ワンネスグループの三宅隆之共同代表が、国内における依存症対策の実態について説明した。その中で、三宅共同代表はアルコール依存症を治療する病院が国内に1362ヵ所あるのに対し、ギャンブル依存症に対するものはおよそ80ヵ所しかないと報告。併せて、民間が行う依存症回復施設にくる相談について、一番多いのはパチンコ・パチスロに関するものであると伝えた。

みみなしやま法律事務所の菅原直美弁護士が講師を務めた第2部では、ギャンブル依存症の人がどのような相談を弁護士に持ちかけてくるのかを紹介した。菅原弁護士は相談の中で特に多いのは金銭的な問題であり、「破産手続き」と「債務整理」を求める人が多いと説明。「破産手続き」に関してはギャンブルが理由である場合に免責許可が下りる可能性は極めて低く、「債務整理」についても依存症の人の中には収入が不安定な人が多く、手続きができないケースが多々あると解説した。また、夫のギャンブルによる借金が原因で離婚相談に来る女性の数も少なくないと話した。

第3部では大阪商業大学アミューズメント産業研究所の大谷信盛客員研究員が、海外で行われているギャンブル依存症対策の一例として、Lethbridge大学(カナダ)のRobert Williams先生が開発したギャンブル教育システム「Stacked Deck」について説明した。大谷客員研究員によると、同システムはギャンブルに関する正しい理解を深める為の授業を60分間行うというもので、授業は6回(週1回)に分けて行われるのだという。1回目から3回目まではギャンブルの歴史や問題点などを座学で学び、4・5回目に他人から誘われた時の断り方などを習得(6回目は全体の復習)。高校生による実証実験では、ギャンブルに対する正しい知識習得と、ギャンブル行為改善に一定の効果があると立証されているのだと話した。