日工組財団 いわゆる「パチンコ依存」をテーマとした初の全国調査を報告

日工組社会安全研究財団(金沢全求理事長)内に設置(平成25年1月12日)された「パチンコ依存問題研究会」は8月24日、ホテルグランドアーク半蔵門(東京都千代田区)において、パチンコ・パチスロ遊技障害全国調査報告会を開催した。報告会では、パチンコ・パチスロ遊技障害(いわゆる「パチンコ依存」)のおそれのある人々が全国の成人人口において0.4%、人口推計39万9799人(直近1年間)など、最新の結果を報告した。

石田仁主任研究員(日工組社会安全研究財団)は、いわゆる「パチンコ依存」を科学的に測定する尺度として、「パチンコ・パチスロ遊技障害尺度(PPSD)」を何年もかけて開発し、信頼性・妥当性があると認められた事から、本年1・2月18〜79歳の男女9000人を住民基本台帳から抽出。回収は5060票(56.2%)の調査概要とした。

遊技の状況では、最近1年間に遊技した回答は全体の11.5%、おおむね1100万人と推計。来店頻度は週1回程度、1日あたり平均遊技時間3〜4時間、ひと月あたり平均負け額1〜2万円。パチンコ・パチスロ遊技障害(いわゆる「パチンコ依存」)のおそれのある人は、直近あるいは生涯の特定の1年間においては0.9%、人口推計89万4876人と推計。直近1年間では0.4%、人口推計39万9799人と推計した。「パチンコ・パチスロ遊技障害のおそれの有無」と関連した特性では、遊技障害のおそれのある人は、離婚の経験がある人、預貯金の無い人が多かった。また来店頻度が高く、平均利用時間が長く、平均負け額も多かった。パチンコ・パチスロ遊技を経験した人全員(生涯経験者)に遊技障害に準じるような問題を経験したと答えたのは2割程度。問題が好発する年代は20〜30代。持続期間は平均5年前後。その内容は「行動の自己制御困難」が6割弱、「経済的困難」と「思考のとらわれ」がそれぞれ3割程度。遊技障害を経験した人の中で、問題が消失したと答えたのは、生涯経験者82%、現役プレイヤー61%。

今回この調査は、一時点だけの調査であり、同じ人に1年後に尋ねるなど断続調査が必要としている。なお、年度内に本調査の報告書を公刊予定している。

【調査報告会メンバー】(敬称・略)
牧野暢男(日本女子大学名誉教授)
河本泰信(よしの病院 精神科医)
坂元 章(お茶の水女子大学教授)
佐藤 拓(成瀬メンタルクリニック院長 精神科医)
篠原菊紀(諏訪東京理科大学教授)
西村直之(リカバリーサポート・ネットワーク代表理事 精神科医)
石田 仁(日工組社会安全研究財団主任研究員)