岡田美術館 美術館対局、里見女流名人通算300局目は白星

(株)ユニバーサルエンターテインメント(本社/東京都江東区)が特別協賛する女流名人戦、第44期「岡田美術館杯女流名人戦」5番勝負の第1局は1月14日、 岡田美術館(神奈川県箱根町)において開催。第1局は98手で伊藤沙恵女流二段が投了、里見香奈女流名人が鋭い圧倒を見せ先勝した。女流名人戦は、女流棋士の誕生とともにスタートした最も古い歴史と伝統のあるタイトル戦。そして冠名を「岡田美術館杯」とした3回目の女流名人戦となった。

14日の対局当日、箱根は快晴の中、岡田美術館の日本庭園内にある開化亭の対局室において、午前9時半に小林忠館長(岡田美術館)の振り駒は全部「と金」(裏返しの歩5枚)で伊藤女流二段の先手で始まった。先手(伊藤二段)向かい飛車、後手(里見名人)三間飛車とお互いに飛車を振りあった。午前中わずか28手目で後手の里見名人は、盤中央まで銀(4五銀)がスルスルと繰り上がり威圧、午前中には飛車角銀桂という全軍総攻撃の臨戦態勢の構えで昼食休憩に突入した。

午後からは岡田美術館・5階ホールにおいて、現地大盤解説会(解説者/福崎文吾九段、聞き手/里見咲紀女流初段と山口絵美菜女流1級など)が開催し、全国各地から約70名の将棋ファンが参加した。清水市代女流六段(日本将棋連盟常務理事)、中村修九段(立会人)など、大盤解説に出演して、盛り上がりを見せた中で、特別ゲストとして中村太地王座が解説会へ登場し、拍手に包まれた中での第一声は「たったいま対局が終わりました」と、午後のおやつが対局室に届けられた直後の14時43分、里見女流名人の怒涛の攻めによる先勝となった。

大盤解説に登場した両対局者は、「序盤から積極的にいこうと思っていました」(里見女流名人)、「たくさん集まっていただいた皆さんには申し訳なかったです。次、精いっぱい頑張ります」とファンにあいさつしていた。里見女流名人は、今タイトル戦では、前人未到の9連覇(V9)を目指す好発進となった。