大阪府・大阪市IR推進局は3月22日、関西大学梅田キャンパス8階ホール(大阪市北区)において、9回目となる「知る、分かる、考える、統合型リゾート(IR)セミナー」を開催し、公募者約120名余が参加した。
大阪府・市では夢洲地区へのIR誘致に向けた取組みを進めており、セミナーは府民の理解を深める主旨で行われている。大阪府・市はかねてよりIRの研究を進めており、今年度全国唯一の政令指定都市と都道府県の共同設置となる大阪府・市IR推進局を設置。今国会で実施法案が上程される予定であり、大阪府・市のIR推進局は、大阪・夢洲地区への統合型リゾート(IR)の誘致に向けた取組みに府・市民への理解と協力に努めている。第9回の今回、大阪府・大阪市IR推進会議座長、公益財団法人大阪観光局理事長、元観光庁長官である溝畑宏氏(写真右)から「IRがもたらす大阪の未来」、続いて大阪府・大阪市IR推進会議座長代理、学校法人谷岡学園理事長、大阪商業大学学長の谷岡一郎氏(写真左)から「海外のIRにおける懸念対策」について講演した。
講演後、両氏の対談となり、多くの文化・芸術の発信源が大阪であるように、IRが大阪からでなければならない理由について熱を帯びた。溝畑氏は私見として、「久しぶりに大阪に帰ってきましたが、やたら失敗を恐れている、おやっ?!知らん間に地方都市になったんか!と。ですから、世界の一流になるという精神が今の大阪には必要なんです。やってみなはれ文化の原点、やったれ!という空気感なのだと、これが大きな効果、皆の目線が上を向く、大阪全体が変わると思います」と力説した。谷岡氏はIRにおける懸念対策として、青少年への影響、犯罪の増加、ギャンブル依存症問題「Problem Gambling」についてエビデンス(科学的根拠)に基づき正しく理解する事が必要であると説明した。
その後、参加者からの質疑応答を行い、大阪独自のIR実現に期待を寄せる雰囲気となっていた。
セミナーで配布された「IRって何?」という冊子では、ギャンブル等依存症対策として、2017年度の国の調査を引用。ギャンブル等依存症が疑われる者の割合は、過去1年以内のギャンブル等の経験等について評価した者では0.8%(約70万人)、生涯を通じて評価した者3.6%(約320万人)と推計値で示し、「有効な対策をしっかりとることで依存症は抑制できます」と明記した。
なお、今年度最後となる第10回は国のIR制度設計に有識者委員として携わった美原融氏(大阪商業大学総合経営学部教授、同アミューズメント産業研究所所長)を迎え、専門家の立場からの講演を予定している。