大阪府遊技業協同組合(平川容志理事長)は12月8日、大阪市天王寺区のシェラトン都ホテル大阪において、令和2年度の歳末防犯懇談会ならびに定例理事会を開催した。
懇談会は行政担当官と防犯や業界の諸問題に対して意見交換を行う趣旨。来賓には大阪府警察本部生活安全部より高木久部長はじめ、同保安課の石川嘉嗣課長と丸山忠彦課長補佐が列席し、大遊協からは理事、役員、支部事務局関係者などが参加した。今年は新型コロナウイルス感染症対策の為、受付での検温・手指消毒、マスク着用、そして会場の規模を拡大してソーシャルディスタンスをはかりながら進行した。
冒頭、大遊協が長年にわたり実施している特殊詐欺やひったくり防止を目的とした各種社会貢献活動が評価され、大阪府警本部より感謝状が贈られた。高木部長より平川理事長に感謝状が手渡され、これからも安全安心な街づくりの為、官民一体となって取り組むべく意思を確認した。
続いて講話を行った高木部長は、府下の犯罪情勢について、10月末時点での刑法犯認知件数は約5万7千件で、昨年同期比20%減少したと説明。行政だけでなく、民間団体や企業、地域の協力により治安が大きく回復し、安全な街づくりと平穏な府民生活を提供できたと述べた。しかしながら、女性が被害者となる性犯罪や自動車関連犯罪は依然として高水準にあり、決して油断できない状況が続いている。また、特殊詐欺の認知件数は前年同期比40%減少となる900件にまで下がったが、被害額は18億8千万円と高額であることも指摘。警察活動への一層の理解と協力、そして高齢者や特殊詐欺撲滅に向けた広報啓発活動への支援を求めた。
業界へのお願いでは「依存症防止対策」と「射幸性の抑制」の2点について要請。依存症防止対策に関しては昨年4月閣議決定された「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」において、「広告宣伝」「自己申告プログラム」「出玉規制を強化した新規則機の推進」等、業界に課せられた各取り組みについて改めて確認した。行政としても多くの営業所で依存症対策に関する諸施策が実行されている事を確認しているが、店舗によって温度差があることも事実としてあり、業界が足並みを揃えて問題に向き合うよう指摘した。
また、射幸性の抑制に関しては、高射幸性回胴式遊技機の確実な撤去をはじめとしたパチンコ・パチスロ産業21世紀会決議を確実に履行するよう求めた。国民から厳しい目が向けられる中、業界一丸となった確実な取り組みにより、健全な大衆娯楽のあり方を示して欲しいとし、大遊協には引き続き、業界のけん引役としての姿勢を顕示して、業界の発展と更なる健全化に期待を寄せた。
講話を受けて平川理事長はこれからも社会貢献活動の一環として地域に密着した防犯活動を推進し、大阪府警察の治安活動の一助になるべく一層の協力をしてくと述べた。業界へのお願いに対しては、行政当局の指導を受けながら、ギャンブル等依存症対策基本法の趣旨に沿った営業で全組合員に対して指導を行っているところであるとし、その中でも依存症対策は最重要課題として位置づけられていると説明。加盟ホールにあっては、客に適切な助言等を行う安心パチンコ・パチスロアドバイザーを全店舗に複数人配置するなど積極的かつ真摯に取り組んでおり、自己申告・家族申告プログラムにおいても、その活用の充実を図り、全ホールに導入を促すなど具体的な取り組みを伝えた。
射幸性の抑制に関してはパチンコ・パチスロ産業21世紀会が決議した具体的な数値目標に則り計画的な撤去を行うほか、特に高い射幸性を有する回胴式遊技機に関しては満了日までに確実に撤去していくことを改めて確認。従事しないホールに対しては、決議内容を遵守していないパチンコ店の通報・確認システムを活用し、事実関連を調査するなどして厳しく対応していくとした。コロナ禍の影響を受け客足が遠のき、府下の店舗も大幅な減少傾向にある。「厳しい経営環境が続きますが、大遊協はホール営業者の組合組織としてファンに親しまれる大衆娯楽の維持継続とともに傘下組合員の連携を一層深め、法令の遵守と健全営業に努めていきます」と平川理事長。懇談を通じて各種課題等に対する認識をしっかりと確認した。