全日遊連全国理事会における行政講話

 ただいま御紹介にあずかりました警察庁保安課長の小柳でございます。
 昨年12月に着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
 皆様方には、平素から警察行政各般にわたりまして、深い御理解と御協力を賜っているところであり、この場をお借りしまして御礼申し上げます。引き続きよろしくお願いいたします。

 昨年、ぱちんこ業界においては、東日本大震災発生以来、継続して取り組まれている被災地に対する復興ボランティア活動を始めとし、社会福祉への支援等の様々な社会貢献に取り組まれ、また、昨年8月に広島で発生した土砂災害においても、地区の営業者の方々は、いち早く被災者への支援や救助活動への協力に乗り出されたとも伺っており、これらの行為に対しまして敬意を表する次第であります。さらに、依然として社会的な課題となっている節電についても、低炭素社会実行計画による取組など社会の要請と真摯に向き合い、その社会的責任を果たそうと皆様が御尽力された一年であったと伺っております。
 また、ぱちんこの遊技人口が年々減少している状況の中で、1円ぱちんこに代表される遊技料金の低価格化、遊技機の不正改造防止対策、射幸性を抑えた遊技機の開発等、遊技客が少ない遊技料金で、安心して遊技そのものの面白さを楽しんでもらうための努力が続けられているところであります。
 しかしながら、依然として、のめり込みに起因すると思われる各種問題や、遊技機の不正改造事犯、賞品買取事犯、違法な広告宣伝・賞品提供等が後を絶たず、健全化を阻害する要因が残されていることも事実です。特に昨年は、通称IR法案と呼ばれる、特定複合型観光施設区域の整備の推進に関する法律案が国会において審議される中で、ぱちんこにおける遊技客の依存が問題とされ、また、ギャンブル依存の疑いのある方が536万人と推計された厚生労働省の研究班の調査対象にぱちんこも含んだ数字として報道されるなど、ぱちんこに対する社会的な関心、批判はこれまで以上に強まっております。
 したがって、全日遊連を始め、業界の方々におかれましては、業界を取り巻く厳しい現状に危機意識を強く持っていただき、ぱちんこ業界が抱える各種問題について、早急に対策を実行し、問題を解消していくことが求められていると考えております。

 さて、本日はお時間をいただきましたので、年頭に当たりまして、何点かお話ししたいと思います。

 まず、射幸性の抑制に向けた取組についてです。
 ぱちんこ産業の現状について申し上げますと、公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書2014」によれば、平成25年、市場規模が18兆8千億円と高水準で推移する一方で、ぱちんこ遊技への参加人口は、対前年比で140万人減少し、1,000万人を割り込む970万人となりました。このことからすると、いわゆるヘビーユーザーへの依存度が高い状況が続いていると推察されます。近年のこのヘビーユーザー化の傾向については、ホール営業者の皆様も営業活動の現場において肌で感じていることと思いますが、今一度、我々行政からも強調しておきたいと思います。市場規模の18兆8千億円を、遊技人口970万人で割ってみますと、一人当たりの年間遊技費用の概算が算出されますが、概ね200万円の遊技費用となります。驚くべき数値であります。参考に、平成元年当時の数値を見てみますと、市場規模が15兆3千億円、遊技人口が2,990万人ですから、一人当たりの年間遊技費用は、概ね50万円でありました。それを平成25年と単純に比較すると、一人当たりの年間遊技費用は4倍となります。毎月5万円で遊んでいた人が、毎月20万円で遊ぶようになったということになります。遊技人口が年々減少する中で、市場規模がさほど変化していないぱちんこ産業の推移の裏側では、遊技客の遊技費用の増加が顕著になっているのであり、このことが、近年業界でよく言われるヘビーユーザー化を示す一例ではないかと思います。
 あくまで一例ではありますが、業界の皆様にあっては、こうしたヘビーユーザー化が進行した今の射幸性の高い営業が、果たして、ぱちんこにのめり込んでいる方を家族に持つ方々を始めとして、多くの国民の理解が得られるものかどうか、まずは、改めてお考えいただきたいと思います。「客が射幸性の高い遊技を求めるのだから仕方がない」という考え方は、これだけぱちんこ依存を問題視する声が大きくなった現状においては、もはや通用するものではありません。ぱちんこ営業が「射幸心をそそるおそれのある営業」である限り、射幸性の適度な抑制は、健全な営業であるための不可欠な条件でありますが、今の営業実態とぱちんこに対する国民感覚とは大きく乖離しているのではないかと危惧しております。
 そこで、全日遊連を始めとする各業界団体には、射幸性を抑制するための改革を実行していただきたいと思います。昨年8月、業界関係14団体を会員とするパチンコ・パチスロ産業21世紀会において、業界全体としてのめり込み対策を強化していく方針を決議し、それを受け、依存問題対応ガイドラインの策定や自主申告プログラム等の検討をしていると承知しておりますが、速やかな対策の実施をしていただくとともに、更なる対策として、のめり込んだ方に対する対策にとどまらず、そもそものめり込ませないための対策の検討をしていただきたいと思います。のめり込ませない対策の本質は、ぱちんこ遊技の射幸性の抑制にあります。それを実現するためには、具体的には、遊技客の費消金額や獲得賞品総額を抑えることや、偶然性に過度に依存しない遊技を創出していくことなどが必要であると考えます。業界として、今まで積み上げてきた技術力やアイデアを駆使して創意工夫をこらし、少額で遊べる遊技や、短時間でゲームが終了するような止め時の判りやすい遊技を始めとする射幸性の低い遊技の提供を実現していただきたいと思います。
 全日遊連におかれても、昨年10月から、のめり込み対策の第一ステップとして、ホールの広告宣伝にのめり込み防止の標語を挿入する取組を開始していただいておりますが、21世紀会ののめり込み対策としての取組とも相まって、射幸性を抑制するための更なる取組の実行を期待しております。
 なお、射幸性の抑制への取組は、新たなユーザーの獲得につながるという意味で、必ずしも産業を縮小させるものではないと考えております。昨年初春に、21世紀会として「遊技産業活性化委員会」を立ち上げ、新たなファンを創出するための取組を業界を挙げて開始されたことも、今のユーザーが極度に偏っていることへの危機意識から始まったものと伺っております。射幸性の抑制に向けた取組も、ユーザーの新規獲得、市場の開拓、営業の活性化につながるとの前提に立ち、現場のホールが前向きに考えられるような取組方が必要であると考えております。皆様には、射幸性の抑制に向けた取組を成功に導くため、ぜひとも業界をリードしていただき、ホールに足を運ぶ遊技客が、「最近のぱちんこは射幸性が落ちて、手軽に楽しく遊べるようになった」、と実感できるような状況を実現させることを期待しております。

 次に、いわゆるのめり込み問題を抱えている方への対策について2点お話しします。
 まず1点目は、のめり込み問題を抱えている方に対応する機関として、全日遊連の支援で設立され、現在では業界全体で支援しているぱちんこ依存問題相談機関「認定特定非営利活動法人リカバリーサポート・ネットワーク」についてです。リカバリーサポート・ネットワークでは、平成18年4月の設立以来、1万件を超える相談に対応しているとのことであり、のめり込みに起因する問題が深刻化する前の段階で改善を図るだけでなく、のめり込みに陥った方の回復という観点からも、有益な取組がなされていると認識しております。
 全日遊連におかれましても、各組合員の店舗において、リカバリーサポート・ネットワークの広報ポスターの掲示を進めていただいているところであり、その結果、より多くの方々にその存在を知ってもらうことに繋がり、リカバリーサポート・ネットワークへの相談件数は順調に伸びております。これまでどこにも相談出来なかった、ぱちんこで問題を抱える人たちへのアプローチとしては成果があったと思います。今後も注意喚起・広報啓発の取組を継続するとともに、リカバリーサポート・ネットワークを始めとする回復支援団体への支援を拡大し、のめり込み問題に悩み苦しむ人々に十分な対応が行き届くようにしていただきたいと思います。
 2点目は児童の車内放置事案防止についてです。
 全日遊連におかれては、毎年5月から10月にかけての「子ども事故防止強化期間」を中心に、組合員に対して広報啓発を行っていただいております。昨年の防止事例として、一度車内放置された児童を発見し、保護者を退店させたものの、再度この保護者が来店しているのを発見したことから不審に思い、営業所の駐車場だけでなく、広範囲に検索を行い、営業所とは全く別の駐車場に駐車されていた車内に再度放置されていた児童を発見したという好事例も寄せられております。一方で、昨年6月に、わずか5ヶ月の乳児が車内放置によって死亡するという誠に痛ましい事案が発生いたしました。全日遊連におかれましては、改めてこの車内放置事案対策がなければ死亡事故が多発するという厳しい現状が続いているとの認識を持っていただいた上で、毎年各営業者に対し示される業務マニュアルが各店舗において正しく実行されているかを再確認することはもとより、更なる対策として、児童を同乗させている車両は営業所の駐車場への入場を断るなどの厳格な措置を積極的に推進していただきたいと思います。

 次に、遊技機の不正改造の絶無についてお話しします。
 近年の不正改造の手口は、主基板の改造や、周辺基板のロムのプログラム改ざんが、疑似カシメ等の工作により巧妙に隠され、不正を発見するのが困難なものも認められるなど、一層悪質巧妙化しております。業界では不正改造情報の収集やこれを活かした不正に強い遊技機づくり等の様々な取組が推進されているところであり、一定の成果を挙げていると承知しておりますが、このような悪質巧妙化している不正事案に対し、引き続き、より効果的な対策を模索し、推進していただきたいと思います。
 また、一般社団法人遊技産業健全化推進機構の活動については、立入検査店舗数が昨年末時点で2万店舗を超え、この立入検査を端緒に検挙に至った事例も多数あり、機構は着実に実績を積み重ねております。
 しかしながら、機構の立入検査活動において、昨年12月に兵庫県内のホールで立入検査拒否事案が発生しました。立入検査を拒否したり、妨害するような行為は、不正改造の根絶を目指す業界全体の取組に真っ向から背を向ける行為であり、断じて許されるべきものではありません。このような事態が発生していることを業界としても重く受け止め、再びこのようなことが起きることがないよう業界における周知徹底をお願いします。
 警察といたしましては、引き続き、遊技産業健全化推進機構と積極的に連携しつつ、厳正な取締りを推進してまいりたいと考えております。
 皆様方には、不正改造が根絶され、遊技客が、安心して遊技できる環境が整備されるよう、業界を挙げた取組をより一層強力に進めていただきたいと思います。

 次に、くぎの問題についてお話しします。
 営業所に設置されたぱちんこ遊技機のくぎを曲げたり、取り替えたりすることにより、検定や認定を受けた遊技機と異なる遊技性能を創出することについては、悪質な不正改造であることを指摘しておきたいと思います。
 このような行為は、御承知のとおり、風営適正化法で規制される無承認変更事案であることはもちろんのことですが、そのことに加え、各都道府県公安委員会が適正であると認めた性能を有さない遊技機を設置していることとして、風営適正化法第20条第1項の規定に違反する行為を行っていることとなります。先ほど射幸性の抑制の話でも述べたとおり、ぱちんこ営業が「射幸心をそそるおそれのある営業」である限り、射幸性の適度な抑制は、健全な営業であるための不可欠な条件でありますが、くぎに手を加えて遊技性能を変更するという行為は、この絶対条件をないがしろにする行為であり、風営適正化法の趣旨を没却する最も悪質な行為の一つであります。
 しかしながら、残念なことには、この悪質な行為は、毎年のように平然と行われている状況が続いております。平成23年から25年までの3年間にくぎに関する無承認変更の行政処分数は22件でありますが、この事案の中身を見てみますと、そのほとんどが、遊技盤面下部の左右に存する一般入賞口付近のくぎを狭めているか、大当たり抽選が作動する中央入賞口のくぎを調整しているものであり、大当たり抽選の入賞に偏らせるなど、営業者の身勝手な都合により遊技性能を改造していることが疑われるものであります。業界内では、メンテナンスとしてくぎの調整をする必要性が議論されることもあると承知しておりますが、少なくとも、我々行政が把握しているくぎ曲げの事案については、くぎの劣化によるメンテナンスといったものではなく、意図的に遊技性能を改造して、過度に偶然性に頼った遊技等を創出していることが窺われる事案であります。
 このくぎの問題について、さらに例を挙げさせていただきます。
 某都道府県におきまして、ぱちんこ遊技機の新台入替に係る変更承認を行う際、その審査のため営業所へ実地調査に警察職員が赴いたところ、従業員がぱちんこ遊技機の全面ガラスを開け、ハンマーでくぎをまさに叩いていたという事案であります。くぎを叩いていた理由を調べてみると、やはり大当たり抽選が作動する入賞口への玉の入りやすさを調整していたとのことであり、さらには、当該調整に関係するくぎの場所や入賞口付近のくぎの間隔が図示された紙片を販売業者から入手していたことが判明しております。この販売業者の行為は、営業者が不正機を設置しようとした行為に荷担したと言われかねないのみならず、同遊技機が検定機と同一であることを都道府県公安委員会に対し保証した製造業者の信用を傷つける行為でもあり、遊技機の型式検定制度の根幹を揺るがす悪質な行為であると言えます。
 このように、くぎの問題は、単純に悪質な営業者だけの問題で済ませることが出来ないほど、業界内の広範囲で甘く考えられているのではないかと危惧しております。全日遊連におかれましては、このくぎの問題が風営適正化法に基づく射幸性の適正管理を堂々と侵害している厳しい現状を真摯に受けとめた上で、くぎの問題を業界全体で改善すべき課題と捉え、その認識を業界の常識とするよう尽力し、不正改造事案の絶無を目指していただきたいと思います。

 次に、遊技機の設置や部品変更に伴う適正な手続の徹底についてお話しします。
 遊技機の流通における手続については、変更承認等風営適正化法に定められた事項を遵守することに加え、流通過程で不正改造等の不正行為が行われることのないように、業界全体で取り決めた遊技機販売業者登録制度や遊技機取扱主任者制度などに基づいて行われていることはご承知のとおりです。しかしながら、昨今、それらに基づく適正な手続をないがしろにするような事案が立て続けに発生しており、流通過程における取扱業務の健全化の精神が業界内で風化しているのではないかと危惧しております。
 この流通における健全化が疑われる事案として2つほど例を挙げさせていただきます。
 まず一つは、先ほどのくぎの問題でも指摘しました某都道府県におけるくぎ曲げ事案の続きになります。くぎを曲げた遊技機について、営業者は、再度営業所への設置を試みようと、製造業者に保証の再依頼をしたものですが、当該製造業者は、同遊技機の点検・確認等を何らすることなく、保証書を再発行し、同営業者に郵送したものであります。
 くぎを曲げた遊技機について、再度営業所に設置しようと公安委員会に変更承認申請しようとする営業者の行為は論外でありますが、製造業者についても、保証書の取扱いについて、あまりに軽率であるといわざるを得ません。保証書については、営業者が都道府県公安委員会に営業許可や変更承認を申請する際、設置に係る遊技機が適正な遊技機であることを保証するものとして、申請書類とともに公安委員会に提出する重要な書類であることは御承知のとおりです。同事案は、結果的に、くぎを曲げられ遊技性能が変更された不正遊技機を製造業者が適正遊技機として再び保証をすることとなったということであり、これも、射幸性の適正管理を侵害するという、風営適正化法の趣旨を没却する悪質な事案と言えます。
 もう一つの例は、某都道府県において、新台の部品交換に係る無承認変更事案が連続して発生した事例です。不正対策部品を新たに交換する際であっても、サブ制御基板等、遊技機の性能に影響を及ぼすおそれのある部品についての変更は、従来どおり遊技機を稼働させる前に変更承認の手続を完了させることが当然必要でありますが、その必要がないと勝手に解釈したものとのことであります。そのような誤解のないよう、今一度、風営適正化法に基づく適正な手続を徹底していただきたいと思います。また、そのような新台の部品交換手続における別の事例として、製造業者から部品交換の委託を受けた業者が、業界で取り決めて運用される作業確認書を偽造し、部品交換作業に営業者が立ち会っていないにも関わらず、立ち会ったと装っていた事案も発生しております。このような杜撰な作業実態であれば、設置に係る遊技機が検定機と同一であることを製造業者として保証できていないのではないかとの疑念が抱かれるものであります。全日遊連におかれましては、営業者の変更承認手続における課題として、このような問題があることを認識していただいた上で、営業者が適正な変更承認手続を行うよう指導していただくとともに、各業界団体と連携しながら、部品交換手続の運用を今一度検証していただき、運用の改定を行う必要性があれば、早急に対策を検討していただきたいと思います。

 次に、ぱちんこ営業の賞品に関する問題について3点お話しします。
 1点目は、賞品買取り事件の増加についてです。
 風営適正化法は、営業者が客に提供した賞品を買い取ることを禁止しており、営業者が直接に賞品を買い取るものでない場合であっても、買取業者が営業者と同一と認められる場合には取締りの対象となります。
 このことについては、毎年申し上げているとおり、皆様は当然御承知のことであります。それが、賞品買取事件の検挙件数は、近年急増しております。例年、1、2件で推移していたものが、平成24年中は5件、25年中も5件、26年中は7件の報告を受けております。また、賞品買取関連の行政処分数も、平成19年以降、数十件程度の発生が継続している状況でもあり、買取事件の発生に歯止めがかからないばかりか、逆に営業者の賞品買取への関与が全国的に蔓延している状況が懸念されます。事件の中身を見てみますと、その多くが営業所とは関係のない買取所を装って行われる買取行為であり、買取行為が風営適正化法に違反することを理解した上での確信的な犯行であります。違法行為であることを知りながら年々犯行が繰り返されるこの業界について、世間はどのように感じているのか、真摯に省みていただきたいと思います。

 2点目は、賞品の取りそろえの充実についてです。
 ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの充実は、客の多様な要望を満たし、遊技客の適度な射幸心を保つ上で重要な規制であります。
 そのことを業界でも重視していたからこそ、換金需要の増加に伴う射幸心の高まりを問題視し、平成18年の決議がなされたものと認識しておりますが、決議において取り決めた目標がいまだ達成されていない状況は御承知のとおりかと思います。自ら決意したことが達成できていない現状を打破するためにも、全日遊連におかれましては、他団体とも連携しながら、この目標達成に向け更なる御尽力を賜るとともに、業界自らその達成状況を確認していただきたいと思います。

 3点目は、適切な賞品提供の徹底についてです。
 賞品の提供方法については、等価交換規制がされていることは御承知のとおりでありますが、依然として、一部営業者においてはこの等価交換規制に基づかない賞品交換を行っており、行政処分等厳しく指導・取締りを継続している状況にあります。
 皆様には、風営適正化法の関係条文を改めて御確認いただき、遊技の結果に対する健全なおまけとして、適切な賞品を適切に提供していただきたいと思います。

 次に、広告・宣伝等の健全化の徹底についてお話しします。
 広告・宣伝等の規制については、平成23年当時から比べますと表立って違反する事例は減ったという印象ではありますが、行政処分をしなければならないような違法な広告・宣伝等を行っている営業者が皆無となったわけではありません。ウェブサイトやブログ、あるいは会員メール等で、出玉イベントについてあからさまに告知するものが散見されるほか、隠語を用いて規制の目をかいくぐろうとする悪質な営業者も見受けられます。
 広告・宣伝等の健全化は、ぱちんこ営業の健全化の重要な要素であり、遊技機における射幸性の抑制と同様に、過度なのめり込み及びのめり込みに起因する犯罪等の防止という点で意義を有することを踏まえ、業界が自発的に、そして自律的に、違法行為を行う営業者を業界内部で抑え込むという成熟した産業になることを期待しております。

 最後に、ホールにおける置引き対策についてお話しします。
 置引きの全体の認知件数が減少傾向にある中で、ぱちんこ店における置引きの認知件数だけが顕著に増加していることから、業界に対して昨年2月に文書で改善の要請をし、また様々な機会を通じて置引き対策の推進についてお願いをいたしましたが、依然としてぱちんこ店における置引きの発生件数は高水準で推移しております。安全で安心な遊技場所を確保することは、ぱちんこが健全な娯楽であるための大前提であるとともに、遊技客に気軽に遊んでもらうための必要不可欠な条件であると考えております。全日遊連におかれましては、置引きの発生が今やぱちんこ業界に突出した現象となっていることに危機意識を持ち、その根絶を目指すことを業界の常識とすべく、業界を挙げて取り組むべき課題の一つに加えて、強力に推進していただきたいと思います。

 ぱちんこ営業は、参加人口が減少しているとは言え、なお、非常に多くの方々が参加している娯楽であります。冒頭申し上げましたように、現在のぱちんこ業界を取り巻く状況は、ぱちんこ依存に関する批判を始めとして、ぱちんこに対する社会的関心がかつてないほどの高まりを見せており、大変厳しいものとなっております。そのような中、毎年のように行政から違法行為の指摘を受けているにも関わらず、指摘された違法行為が根強く敢行され続けているぱちんこ業界は、今や岐路に立っていると感じております。
 全日遊連をはじめ、業界の皆様におかれましては、是非とも、行動を起こしていただくとともに、その結果を示していただきたいと思います。例年お話しする講話を講話のままで終わらせてしまうのではなく、今日から動き出すことを期待しております。
 課題は山積しておりますが、射幸性の抑制を最優先課題として位置づけるとともに、その他の課題についても、一つ一つに真摯に対応していただくことはもちろんのこと、その結果が世間から評価されるということにこだわっていただきたいと思います。その実現なくして、ぱちんこは健全な遊技たり得ないと考えます。
 今後のぱちんこ業界の皆様の御努力に期待いたします。

 結びに、貴連合会のますますの御発展と皆様方の御健勝、御多幸を祈念いたしまして、私の話を終わります。
 御静聴ありがとうございました。