全日本遊技事業協同組合連合会(阿部恭久理事長)は10月24日、福岡県遊技会館において、障がい者雇用促進講習会を開催した。全日遊連は、国をあげて喫緊の課題となっている「障がい者雇用の促進」について、開かれた業界として国民から認識してもらえるような環境づくりの一環として「遊技業障がい者雇用促進会議」を通して昨年より検討を進めてきた。2月の東京を皮切りとして、全国規模での啓蒙・啓発につながるよう7月に大阪、9月に仙台で障がい者雇用促進講習会を開催しており、第4回目となった福岡開催は組合員企業の関係者約50名が参加した。
基調講演では、荒井一雄氏(中央障がい者雇用情報センター障がい者雇用支援ネットワークコーディネーター)、高坂修所長(福岡県障がい者職業センター)の2講師が担当。荒井氏自身は、花王の事業所内で、工程の一部を障がい者が担当する作業を受託する花王ピオニー(特例子会社)の代表取締役をしていた経歴。中央障がい者雇用情報センターは、厚生労働省所管の独立行政法人である高齢・障がい・求職者雇用支援機構の部署。障がい者雇用の社会的背景や企業で働く上で大切な事(支援内容)、雇用した障がい者の仕事の見いだし方などについて述べた。高坂所長からは、福岡障がい者職業センターの役割を説明し、企業が地域社会で根付く存在としての障がい者雇用の重要性、障がい者雇用を成功させるポイント等を説明した。
第2部のディスカッションでは、森治彦事務局長の司会進行により、SAPハピネス(株)(サンキョーの特例子会社)、(株)アスカ、(株)マルハン、そして福岡の(株)玉屋の4社が登壇。遊技業界で障がい者雇用の先駆的企業の取り組み事例を紹介した。
○SAPハピネス(株)・林善宏代表取締役/2011年11月設立。2012年3月特例子会社認定。障がい者25名(雇用率8.97%)。事業内容は、クリーニング事業、空調フィルタ洗浄、リサイクル事業、POP補助作業、館内清掃、駐車場巡回。林社長は、特例子会社の設立当時の苦労談を報告。クリーニング事業は、グループ内だけの受注では採算が取れなかった状態だった。現在では、トレーニングジムなどの注文など外部8割、グループ内(制服、おしぼり等)2割と独立採算できるまでの状況になった。
○(株)アスカ・黒田亘総務部長/埼玉県にホール7店舗を経営。その中、秩父寺尾店において2018年4月より障がい者雇用(直接雇用)をスタート。障がい者支援センターの紹介のもと、仕事体験を経て、面接、採用というプロセスで2名(2019年9月現在)。現在も手探りの状況であるが、一人ひとりの特性を見ながら、日々の業務に取り組んでもらっている。
○(株)マルハン・安部巌氏(人材部地域人事課)/ホール317店舗、ボウリング場・アミューズメント施設等6店舗、従業員1万2230名(正社員4798名・パート7432名/2109年3月末)。障がい者雇用率2.25%(2019年6月1日)。「企業風土」「トップダウン」「営業部門の協力」という3つの要素が、障がい者雇用を可能にさせた。現在、職種限定契約社員・正社員(清掃業務を中心とした雇用形態等)。
○(株)玉屋・橋野伸課長代理(総務部人事採用課)・玉山照門課長代理(総務部総務課)/16店舗を経営。従業員430名(正社員337名、賄いスタッフ36名、クリーンスタッフ57名)。内、障がい者10名。採用した障がい者が長く働ける風土・環境を整えた事が現在の採用実績につながっているとした(平均勤続年数約9年)。「玉屋で働く全員が平等に受ける事ができる」福利厚生の充実が大きい。今後は、継続的な障がい者雇用制度の確立。障がい者を受け入れる職種の拡大と整備とした。
最後に林社長(SAPハピネス)は、「障がいを持った方々ですが、一生懸命に働いている姿を8年間見て来ています。障がい者雇用についてより多くのホール経営者が積極的に対応していただきたいと思います。全国には9000店舗余のホールがあります。1店舗一人を採用していただけると、(日本の)障がい者雇用規模においてはなくてはならない存在になります。是非ともご理解ご協力下さい」と述べていた。
なお、第5回目として12月に広島で講習会を予定している。
組合員ホール関係者が参加した講習会
ディスカション参加した4社(左より、SAPハピネス、アスカ、マルハン、玉屋)