依存関係 依存症の理解を深める普及啓発イベント

厚生労働省は3月17日、東京・銀座にある時事通信ホールにおいて、「Re-START みんなで考えよう 依存症のコト」と題して、依存症の理解を深めるための普及啓発イベントを開催し、Youtubeでも配信した。

第1部は、ロックグループのDEEN(ディーン)が応援アーティストとして出演、「応援ライブ&トーク」を行った。第2部は、依存症啓発サポーターを務める今田耕司氏のMCにより、杉田あきひろ氏(第9代歌のお兄さん)、清原和博氏(元プロ野球選手)、高知東生氏(俳優)、塚本堅ー氏(元NHKアナウンサー)、田中紀子氏(ギャンブル依存症問題を考える会・代表)が出演した。出演者は、各自が回復に向け努力を重ねてきた近況と今後について語った。

第1部において、3大依存症として、薬物、アルコール、ギャンブルを挙げ、潜在的なものを含めて100万人規模とした。松本俊彦氏(国立精神・神経医療研究センター・精神保健研究所 薬物依存研究部・部長)は、「ギャンブル依存症の人は、いつか勝って取り返せると思っている。ギャンブル依存症になってしまうと考え方が変わってしまう。負けたら取り返すのはギャンブルしかないと思ってしまう。勝ったとしても次のための軍資金になってしまう。結局、果てしないサイクルが続いてしまう。日本の場合、合法のギャンブル、パチンコがありますから、日本にはギャンブル依存症が多いのです。専門の機関できちんと診断し、精神疾患と合併している場合もある。医学的な評価の後、その後は自助グループに行って、治療と支援が必要」と述べた。自由に仲間と一緒に動きまわれる環境のネズミ、一方で檻に1匹ずつ入れたネズミ、両方に水とモルヒネ水を与えるという「ラットパーク(ネズミの楽園)」と呼ばれる実験で説明。自由に動き回れる楽園のネズミはモルヒネ水を必要としなかった事から、(薬物)依存症になりやすい人は「孤立」しているからと、回復においても孤立をなくす(自助グループ)対応が大切と力説。全国の精神保健福祉センターがある事で相談をすすめた。

第2部においては、出演メンバーのつながりについて、「いままで薬物で捕まった方たちを自助グループにおいて回復していく取り組みはなかなか進んでいかなかった。今回、花の2016年組(塚本氏・清原氏・杉田氏・高知氏)の著名な方々がつながり、自助グループが立ち上がった」(田中代表)と、回復支援の有用性を述べていた。なお、生中継時の視聴数は約1000だった。

ギャンブル等依存症対策基本法は、IR推進法(2016年12月)の付帯決議として盛り込まれ、平成30(2018)年7月に公布、10月に施行した。以来まもなく3年が経とうとしている。そうした事から、「回復を応援し、受け入れる社会へ」を掲げて、シンボルマーク、SNS活用、依存啓発サポーターの任命など、理解を深める活動としている。