依存学会 ギャンブル依存症の理解と支援の必要性

NPO法人依存学推進協議会(西村周三理事長・医療経済研究機構)は6月19日、谷岡学園サテライトオフィス(グランフロント大阪タワーA16F)において第7回となるシンポジウム「ギャンブル依存を考える」を開催し、90名が参加。ギャンブル依存症に対して、予防や治療、広報・啓発活動の必要性が再認識された。

西村理事長は、「我が学会は、依存というものを医学的、科学的な立場などを通して、病的な側面だけでなく、人間的な側面など広い視野で分析していこうという趣旨で活動している。今回は、ギャンブル依存をテーマとした」と開催意義を述べた。今回、基調講演として田中紀子代表(ギャンブル依存症問題を考える会)が「 今からでもできるギャンブル依存症対策の具体案」、貴闘力氏(元大相撲力士)が「ハマリと立ち直り」の2題を行った。

その後、勝見博光理事(依存学会)の司会のもと、田中代表、貴闘力氏、井上幸紀教授(大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学)、谷岡一郎学長(大阪商業大学)による「ギャンブル依存と日本の施策の存り方」についてディスカッションした。(1)アスリートとギャンブル依存の関係(更正のしくみづくり/社会認知の必要性) (2)ギャンブル依存でしくじらないために必要な事 (3)ギャンブル依存症とは病気なのか等、意見を出し合った。

「医者としては、病名があればそれに当てはめたいもの。当事者の方は病名なんて何でもいいのだと思います。要は、普段通りの生活、働ければよいのだと思う。診断が大事なのではなく、その当事者、そして周囲の人が困っている事をどう対処できるかだと思う」(井上教授)。「ギャンブル依存症は病気であるなら、きちっと線引きすべき。IR実現を賛否する以前に、すでに多くの人がギャンブルで迷惑を被っている現状を見ると、IRの議論の中できちっと予防できる法整備は必要と考える」(谷岡学長)。「IR反対派の多くは、反対の道具としてギャンブル依存症を利用するが、何も協力しない。IRの法制化議論の中でギャンブル依存症への予防・啓発というものが進むことに期待している」(田中代表)など、社会の理解と支援、過度の依存から回復できる体制づくりや、射幸性産業からの対策費拠出の義務化など、様々に意見を出し合った。