ワンデーポート 名古屋で依存問題セミナー開催

認定NPO法人ワンデーポートは1月26日、愛知県名古屋市の名古屋都市センター金山南ビル14Fにおいて、「ギャンブル等依存問題の現状〜支援の現場の視点で検証する〜」を開催した。ワンデーポートは、2000年からギャンブル等の問題に悩む人の回復支援施設(神奈川県横浜市)を運営する活動を通じ、その知見を重ねており、依存問題についての啓蒙・啓発に積極的に取り組んでいる。今回は、全日本社会貢献団体機構の助成により、愛知県、名古屋市、RSN、依存の問題に携わる人たちの勉強会の後援、(株)アイエス・フィールドの協力により開催が実現した。

セミナーは、支援の現場での視点でギャンブル等依存問題について考え、当事者(家族)や社会がどのように向き合うべきか考える事を目的に開催。まず主催者を代表して中村努施設長(ワンデーポート)が、ワンデーポートのこれまでの活動を振り返り、「現在では、『ギャンブル等依存症』という言葉で法制化されました。一方ワンデーポートのような生活の視点に基づいた考え方についてみると、浸透が進んでいないようなのです。病院に行けば、治療すればという方向となっています。国で進めている対策が万人に有効とは思えません。さらにおちこぼれてしまう人も少なくないと心配しています。そうした中だからこそ、ワンデーポートは初心に返り、政策の違和感や個別的な支援の必要性について考えてみたい」と開催意義を述べた。

稲村厚氏(司法書士・ワンデーポート理事長)からは、「ワンデーポートは活動して20年になります。延べで1000名余の方を支援した事になります。その一人ひとりを支援していて、ギャンブル依存の問題対応は簡単な事ではないと感じています。しかし、光明は感じているのです。ただ、一つの方法で完結するやり方ではなく、生活や社会で生きていくための適応の問題ではないかと思うのです。病院で治るものではなく、地域社会の中で支え合い育んでいく事なのだと感じています」と、大勢の参加があった事への謝意と依存問題への正しい対応について理解を促した。

最初に宮永耕氏(東海大学健康科学部准教授)が「『依存症』回復施設の歴史と当事者活動の役割について」と題して日本における医療制度の変遷を見ながら、その時代時代における違和感について基調講演した。続いて、市川岳仁氏(三重ダルク 精神保健福祉士・保護司)が、「アルコール・薬物・ギャンブリング問題を持つ人たちとの日々」と題して、依存問題を抱える事によるレッテルを、自らの体験を通し、どうやって返上していけるのか。現在の社会や医療制度の盲点についてなど、問題共有を行った。両講演者ともに、目の前にいる問題を抱えている人に対して、問題の種類でしか見ないのか、人としてしっかり向き合って見るのか、基本的な姿勢が今まさに問われていると訴えた。

その後、「支援の現場の視点で考える」と題したパネルディスカッションにおいて、宮永氏、市川氏、中村氏、稲村氏、高澤和彦氏(精神保健福祉士・浦和まはろ相談室代表)が依存問題との向き合い方について参加者と考え方を共有した。

ワンデーポートでは、大阪(6月30日)、長野(11月17日)に続いて、名古屋セミナーによって令和元年度のセミナープログラムを終了した。なお、名古屋開催では、大野春光副理事長(全日遊連・岐阜理事長)をはじめ各地から業界関係者が参加し、依存対策への取組みついて関心を寄せた。

写真説明・稲村氏、宮永氏、市川氏、中村氏、高澤氏(左より)