(株)ユニバーサルエンターテインメント(本社/東京都江東区)が特別協賛する「岡田美術館杯女流名人戦」(報知新聞社主催)は4月7日、ザ・プリンスパークタワー東京において第47期女流名人戦就位式を執り行った。12連覇の偉業を祝し、新たな無垢の寄木細工による岡田美術館杯を贈った。
第47期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負は、里見香奈女流名人に加藤桃子女流三段が挑戦し、里見女流名人は三連勝で防衛した。里見女流名人は、2010年2月10日、清水市代女流名人(当時)を3勝0敗のストレートで下して以来、これで12連覇となった。女流棋戦における同一タイトル戦の連覇は、女流棋戦歴代単独最多記録を独走。女流タイトルの通算獲得数は43期となり、清水市代女流七段と並び史上最多タイとなった。
昨年に続き、今回の就位式では、新型コロナウイルスの感染防止に最善を尽くし、3密を避けるため規模を縮小し、新しい生活様式で実施した。佐藤康光会長(日本将棋連盟・九段)は、主催者挨拶において、「若手も台頭してきて、層が厚くなっている中での記録であり、感服しています。タイトル通算獲得数が最多タイとなりましたが、人生の半分は女流名人と捉え1年1年頑張っていただき、女流棋界のレベルを上げ、けん引していただきたい」と祝辞。岡田美術館杯の授与において、小林忠館長は新たなトロフィーを贈った。無垢の寄木細工で作られたトロフィーは、箱根駅伝往路優勝校のトロフィーを手掛ける金指ウッドクラフト(金指勝悦氏)の制作によるもので、女流棋士の洗練された美しさとしなやかさをイメージして作られた。
清水市代常務理事(日本将棋連盟・女流七段)は、「コロナ禍の中で、大きな舞台で将棋の対局ができる喜びと感謝の思いを里見女流名人はよく言葉にされています。さらに今期の里見女流名人は、楽しい、楽しく、楽しみにという言葉を多く聞きました。楽しさを極め、進化させ、女流棋界も切磋琢磨していくと思います。皆様の更なるご声援をお願い申し上げます」と挨拶。花束を贈った羽生善治九段からは、「12連覇という事で、干支ですと、すでに1周りしているのですが、12年間、技術的な事や気持ちの面で浮き沈みがあったと思うのですが、それを乗り越えて、周囲に感じさせないようなパフォーマンスで大記録を達成された」と祝福した。
鮮やかな振袖姿の里見女流名人は、「対局はのびのびと楽しんで指す事がいい結果につながったのではないかと考えています。来期に向けて、少しずつ自力をつけられるように精進してまいります」と謝辞を込めていた。
女流名人戦は、現在行われている将棋女流タイトル戦の中では最も古く、1974年度創設。1993年度開催の第20期より、アルゼ(株)(2009年11月1日に(株)ユニバーサルエンターテインメントに社名変更)が特別協賛となり、2015年より「岡田美術館杯女流名人戦」として毎回、第一局は岡田美術館において開催している。