【総会】日電協 スマートパチスロ説明会を7月に開催

日本電動式遊技機工業協同組合(兼次民喜理事長)は6月10日、東京・千代田区のパレスホテル東京において、第42回通常総会を開催した。

【兼次理事長挨拶】
この1年、2年、去年の総会から1年ですが、規則の経過措置の延長の最終年度だった。最初の頃は、ホールさんも、旧規則の遊技機を大事に使われて、計画的な撤去ということで非常に苦労しましたが、終わってみれば無事に終了したということでひと安心ということになりました。その間に遊技機、とくにパチンコに比べて遅れていたパチスロにつきましても、行政へのいろいろな要望、相談がようやくご理解いただき、自主規制の見直しの範疇ですが、そこそこゲーム性の向上が期待できるスペックをお許しいただけましたので、ここから4000ゲーム機、さらには秋以降のスマスロへとつなげて、ホールさんにとってはパチンコの片肺飛行の状況ですので、パチスロも遅ればせながら、今年の後半に向けて追う形ができるようになると思っております。

令和4年度 事業方針
遊技産業の課題解決のため、行政の指導を仰ぎつつ業界他団体との協働を積極的に行い、業界の発展と社会的評価向上に貢献する。

1.遊技産業を取り巻く状況に適応した遊技機の開発と環境整備
(1)スマートパチスロの導入・普及に向けた施策等の展開
スマートパチスロ遊技機の普及促進のため、従来機と差別化を図った新しいゲーム性の構築を推進する。また、関連業界団体と連携し、導入・普及に向けた課題を早期に解決するとともに、業界内外の広報活動の充実により普及を推進し、所要の体制の整備等も確立する。
(2)自主規制の運用の厳格化と見直し
現行の自主規制の運用について、スマートパチスロとメダル機(現行機)の各々に厳格化するとともに、魅力あるパチスロ機が開発できるよう関連団体と連携する。
(3)依存問題に対する取り組みの強化
パチンコ・パチスロ産業21世紀会が制定した「パチンコ依存問題対策基本要綱」に基づき、加盟団体と連携・協力し、依存問題に対する計画的、総合的な取組みを推進する。また、リカバリーサポート・ネットワークをはじめ依存問題の予防と解決に取り組む民間団体等に対する支援の実施など「パチンコ・パチスロ産業依存問題対策要綱」に示された対策を積極的に推進する。
(4)規則特許の許諾に係る適正な運用の推進
特定規則特許の追加等、規則特許に係る適正な運用について、規則技術選定委員会において推進する。
(5)規則改正に向けたコンセンサスの醸成
ファンのニーズにあった魅力あるパチスロ機の開発、低コストのパチスロ機の開発・製造が可能となる環境を構築するため、現状の課題等の整理を行うとともに、関係団体と連携して、行政へ提案する規則改正の骨子の作成を推進する。

2.健全化・セキュリティ対策の推進
(1)セキュリティ対策の推進とゴト発生時における迅速で毅然とした対処
スマートパチスロ遊技機の特長を踏まえた不正改造ゴト事案対策の検討を進め、行政の指導の下、適宜適切な技術上の対策を推進する。また、不正改造ゴト発生時の迅速な行政・関係遊技団体との情報共有及び事案に関しての対応、追及を積極的に推進する。
(2)不正改造ゴト等の撲滅とリサイクルの推進
新台流通過程における不正改造ゴトに対し、「製造業者遊技機流通健全化要綱」に基づき、引き続きその撲滅を図るとともに中古流通段階における不正改造ゴト事案の未然防止を図るため、関係団体等と緊密な連携をとる。また、「不法投棄」「野積み」等を防止するため、遊技機の適切な回収と適正処理を推進する。
(3)闇スロ撲滅対策の推進
旧規則機の撤去に伴う闇スロへの流通を防止するため、流通過程における機歴管理等を適正に行うとともに、行政・他団体と協力してさらなる対策を検討・推進し、ファンに向けた闇スロ遊技防止のための広報活動を引き続き行う。

3.その他の啓発活動
(1)ホール・ファンに向けてのプラットフォームの構築
メダル6.5号機及びスマートパチスロ普及のため、新機種販売及び稼働を支援するための動画配信やメーカーとホール、ファンを結ぶためのプラットフォームを構築するなど、積極的な情報発信を進める。
(2)CSR(Corporate Social Responsibility)活動の推進
「全国防犯協会連合会」をはじめ公益法人等に対する支援のほか、障がい者スポーツの振興支援を継続するなど、日電協CSR憲章に基づく継続性・発展性・独自性の高い価値ある社会貢献活動に積極的に取り組む。
(3)仕事のやり方や職場環境の改善と新型コロナ感染防止対策
新型コロナウィルス感染防止対策を踏まえ、組合活動が一層の成果を産み出せるよう、システム全体の見直しによる効果的な情報の整理・伝達・共有を進めるなど、常に職場環境の改善を図るとともに、適宜PCR検査を行うなど、感染防止対策を徹底する。

総会後記者会見
令和3年度における日電協証紙発給枚数は49万4009枚(昨年度比+85.8%)。役員の改選が行われ、理事・事務局長だった鶴見雅男氏が常務理事に就任。参与だった岩堀和男氏が理事に就任。DAXEL株式会社の代表変更に伴い、岡庭幸春代表取締役社長が紹介された。

【質疑応答】
▼スマートパチスロについて、具体的な機種の発表時期や供給台数、現状の課題など、可能な範囲でお伺いできればと思います。

兼次理事長 ご存知のようにいま、世界的な電子部品のひっ迫がまだまだ続いていまして、3月24日に日工組と日電協が共同で発表させて頂きましたが、スマート遊技機に使用するスマート遊技機対応ユニットの供給の見通しが遅れていることを受けまして、スマートパチスロにつきましては今年の11月、日工組のスマパチにつきましては来年の1月以降という発表をさせていただきましたが、現状はその通りでございます。

スマスロの供給台数の見通しの質問ですが、私ども遊技機メーカーとしては、売れるだけ売りたいとは思っていますが、スマスロはユニットが必須、ないと動かないものですので、ユニットの供給台数の見通しがスマスロの供給台数の最大になります。

ユニットの供給量はまだ流動的ですが、本年の11月から来年3月ごろまでに10万台以上15万台未満という範囲で供給されると思いますので、スマスロは、その範囲しか初期は販売できないというところです。

具体的な機種については、5月末で日電協、日工組、合わせて5〜6社がスマスロの型式申請をしている。これはいずれ増えていくものと思いますが、メーカーさんによっては少し遅れていくメーカーもあると思いますので、最終的にスタートの時点で何社が出揃うかというところは、確定ではないものの10社前後あればいい方ではないか。状況によっては8社8機種かもしれません。そういう状況です。

▼スマート遊技機における「遊技機情報センタ」の運用形態についてお聞かせください(情報管理・監視体制、不正・データ異常発見時の対応等)。

兼次理事長 これにつきましては、先ほど理事に選任されました岩堀さんから専門的な部分からのお答えとさせていただきます。岩堀理事、お願いいたします。

岩堀理事 兼次理事長に代わりましてご説明します。
この「遊技機情報センタ」については、ホール様の方から情報がセンタに上がることから、きっちりと管理してほしいということで、日電協では、日工組と同じ形で情報管理規定を作り、先ほどの総会でその管理規定について承認をいただいております。そうしたことからも、データについては厳重に管理をするという形になるかと思います。

その情報の目的は大きくは2つあります。1つは依存症対策の観点から過度の射幸性を抑えるということに使用するというものです。もう1つは不正改造の防止のためにこのデータを使うということです。

「不正データの発見時の対応」というご質問ですが、これについては、センタでは、もし不正の恐れのあるデータを発見した場合には、自動でアラームが鳴るような仕組みになっておりますので、それが鳴った時には、その該当メーカーがホールに出向くか、ホールに「この台がちょっとおかしいですよ」ということで、ゴト師による不正行為と不正改造を発見するために、当該ホールへ検査に行くというような形で対応をしていくことを検討しています。これについて、今後、規約化、規定化をしていく予定となっています。

▼スマートパチスロ周知のために業界向け及びファン向けイベントの開催をお考えでしょうか。

兼次理事長 5月19日にホール4団体の幹部の方々に対し事前に説明を終えておりますが、7月19日に全日遊連様でいうところの51都府県方面の全ての組合長の皆さんなど約300人を東京ドームホテルの東京会場に、zoomで約1万人の店長さんなどご招待して全てのご説明をホールの実務者向けにさせていただく予定にしております。ファン向けのイベントについては、今のところ具体的な計画はないのですが、各社の遊技機が出揃ったところで、イベント開催について検討していきたいと考えております。ただ、日電協では「パチスロサミットONLINE」のコンテンツの中で、スマスロの特集とご紹介はするかもしれません。

▼6月から6.5号機の市場導入が始まっています。現状の販売状況や今後の供給見通し、6.5号機に対するホールの受け止め方について聞かせていただけますでしょうか?

兼次理事長 6.5号機はいわゆる4,000G機の差枚数管理の遊技機ですが、現在まだ2機種しか導入されておりません。2機種で約5,000台程度ではないかと思っております。一方で20程度の型式の適合を受けておりますので、今後はパチスロ140万台のうち、Aタイプ、30φを除いて約100万台のAT機が対象となるだろうと思っております。

4,000G機も従来の6号機に比べるとかなりのゲーム性の向上がみられますので、十分、戦力になると思います。それとスマスロにつきましても、ユニットとのセット使うものですので、一朝一夕にスマスロに変わるということではなく、スマスロの普及と併せて4000G機は併売されていくと思います。

スペックだけのご説明でいえば、ファンのやめ時がわかる有利区間の報知がなくなりますし、2400枚が差枚数管理になりますから、必ずいい結果が出るはずだと思っております。
1機種(=キャッツ・アイ)はまだ導入して数日ですが、SISデータを見ますと17,000から18,000枚稼働と上から2番目の稼働を示しています。2、3日では遊技機の評価は語れませんが、順当な動きはしています。これからいろいろなゲーム性を凝らした機械が今月末から来月にかけ入っていくと思いますので、必ずやホール様に評価いただけると思っています。

その後のスマスロについては、ホールさんも専用ユニット、HC-BOXなどの設備投資が必要なわけですから、費用面のご心配がありますね。そのほかにもISDN回線を使っているホールさんもまだ多数ありますから、それを光回線にする通信設備の問題もあります。
「ユニットの供給台数が少ない中、ユニットを公平に販売してくれるのか」など色んな要望もございますので、真摯に対応し、安心して導入いただけるような形を取らせていただきたいと思います。
(終了)

【役員等】(敬称略)
理事長 兼次民喜
筆頭副理事長 小林友也
副理事長 片田富穗、吉国純生
専務理事 飯島久司
常務理事 鶴見雅男(員外・昇任)
理事 信田裕一郎、大泉秀治、国本貴志、里見治紀、岩堀和男(員外・新任)
監事 沖田勝典、湯澤 哲
相談役 里見 治、石原昌幸、佐野慎一