一般社団法人 日本遊技関連事業協会(西村拓郎会長)は6月13日、ハイアットリージェンシー東京において、第34回通常総会を開催。全3議案を上程して原案通り承認可決した。執行部に異動が生じたところから、金光淳用氏を選任し、臨時理事会において副会長とした。また、祝賀会において遊技産業議員連盟の国会議員(元含む)10数名が来賓として出席し、祝辞した。
来賓として出席した警察庁保安課の松下和彦課長(写真)は次のように、業界唯一の横断的組織として期待する業界の社会的地位向上について講話した。
ただいま御紹介いただきました警察庁保安課長の松下と申します。どうぞよろしくお願いします。
本日、日本遊技関連事業協会の令和5年度通常総会が執り行われますことを心からお慶び申し上げますとともに、皆様方におかれましては、平素から警察行政の各般にわたり深い御理解と御協力をいただいておりますことに対しまして、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。
先般、新型コロナの位置付けが5類に移行され、社会経済活動が正常化されつつあります。業界においては、脱コロナの動きに加え、スマート遊技機の導入により、新たな段階を迎えているものと承知しております。
本日は、せっかくの機会ですので、ぱちんこ営業の健全化に関連して、何点か言及させていただきます。
まず、広告・宣伝の運用についてであります。
広告・宣伝の扱いに関しましては、昨年末から本年にかけて、新たな警察庁通達を発出するとともに、業界の自主的取組として広告宣伝ガイドラインが制定されました。特に、貴協会におかれましては、ガイドラインの策定に当たって、業界内の調整という難しい役割を担ってこられたものと承知しております。
今後は、業界内において、ガイドラインの周知が確実になされるとともに、それに沿った広告・宣伝の運用が徹底されるよう努めていただき、広告・宣伝の健全化について、業界を挙げて取り組んでいただくことを期待しております。
その上で、広告・宣伝の在り方について一言申し上げますと、ガイドラインについては、既に数多くの質問が業界団体に寄せられ、内容を補足する通知文書やQ&Aが発出されております。広告・宣伝の内容が多岐にわたることを踏まえれば、多くの質問が生じることはある意味当然ではありますが、他方で、警察庁通達やガイドラインの趣旨が十分に理解されていないのではないかと思わざるを得ないものも見受けられます。
今一度、警察庁通達やガイドラインの趣旨に立ち返っていただき、業界として広告・宣伝を活用してどのような目標を達成したいのか、世間に与えるイメージの観点からどのような広告・宣伝が業界にとって中長期的にプラスとなるのか、という視点で健全化の取組を進めていただきたいと考えております。
警察としては、業界の取組を踏まえながら、あるいはこれを補完する形で、対応していきたいと考えておりますので、ホール以外の視点を持つ貴協会にしかできない役割を広告・宣伝に関しても担われることを期待しております。
次に、のめり込み・依存防止対策についてであります。
昨今、オンラインカジノをめぐる問題が指摘されたり、大阪のIR区域整備計画が認定されたりする中において、ギャンブル等依存症に係る問題も取り沙汰されております。
ぱちんこ営業はこれらのギャンブルとは異なるものではありますが、業界においては、ギャンブル等依存症対策推進基本計画に基づき、のめり込み・依存問題に関する取組を着実に推進していただいております。
特に、自己申告・家族申告プログラムについては、貴協会が業界の先頭に立ち、その導入を積極的に推進され、貴協会の会員企業における導入率はほぼ100%に達していると承知しております。今後は、未導入ホールに対する働き掛けを継続するとともに、遊技客等への周知の強化やユニットシステムを活用した申告プログラムの高度化にも取り組まれることを期待しております。
引き続き、業界の取組に対する社会の目を意識しつつ、のめり込み・依存等で困っている方やその御家族に寄り添えるよう、各種取組の改善・深化をお願いいたします。
次に、ぱちんこ営業に関する不正防止対策についてであります。
遊技機の不正改造事犯や賞品買取事犯については、昨年も検挙された事例がありました。これらの事犯は、型式試験による射幸性の適正管理を侵害する事犯であり、また、賭博との一線を画す上で根幹となる規制に違反する事犯であります。警察として、これらの事犯に厳正に対処していく方針であることに変わりはありませんが、業界として、こうした違法行為が発生しないよう、様々な取組を継続していただくことが重要であると考えております。
PSIOやセキュリティ対策委員会の事務局として、長年にわたり不正防止対策に取り組まれてきた貴協会が、引き続き、この分野でも業界をリードしていかれることを期待しております。
また、遊技産業健全化推進機構は、ホールへの立入りや警察への通報を通じて、不正防止対策において重要な役割を果たしております。
機構の活動等に対し、様々な御意見があることは承知しておりますが、機構においてもその活動を持続可能なものとするための取組を進めていると承知しており、業界としても引き続き、機構への協力・支援をお願いいたします。
業界においては、地方自治体や地域社会と連携して、防災活動や地域清掃活動などの地域に密着した幅広い社会貢献活動を展開してこられたものと承知しております。
最近でも、業界として、本年2月に発生したトルコ・シリア地震の復興支援をなされており、こうした取組は、業界に対する世間のイメージ向上に資するものであることから、引き続き、関係機関等と連携を図りつつ、ESGの観点にも配意した多様な社会貢献活動を推進されることを期待しております。
この他にも、トラック運転手の2024年問題や流通制度におけるペーパーレス化など、様々な問題が存在しているものと承知しております。警察としては、今後とも、業界の意見や要望に真摯に耳を傾けながら、こうした課題の解消に向けた業界の取組をしっかりと支援していきたいと思っております。
この点、各種申請において提出している書類が都道府県によって差があることについて、業界から改善要望をいただいております。警察庁としては、将来的な行政手続のオンライン化を見据え、業界の皆様と意見交換を行いながら、改善に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
最後になりますが、貴協会は、業界唯一の「横断的組織」であり、射幸性、のめり込み・依存といったコアな問題から、流通、販売、環境に至る幅広い課題と向き合い、常に「社会から見られる視点」を持ちながら、業界のあるべき姿を追い求めてきた歴史があります。
本日述べた諸課題は、貴協会の旗印の一つである「社会的地位の向上」という観点からは、いずれも重要な課題ばかりであります。
特に、ホール、メーカー、販売会社それぞれの立場からは解決が困難な課題については、業界唯一の「横断的組織」である貴協会の役割がその解決に当たって不可欠になると考えておりますことから、引き続き、業界をリードした取組の推進を期待しております。
結びに、貴協会の益々の御発展と皆様方の御健勝、御多幸を心より祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。