依存関連 国会議員6氏を招き公益法人設立記念フォーラム「どうなる?!ギャンブル依存症対策〜日本にカジノはできるのか」開催

公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会(田中紀子代表)は4月18日、星陵会館(東京都千代田区永田町)において「どうなる?!ギャンブル依存症対策〜日本にカジノはできるのか」を開催。同会は今年3月1日より、内閣総理大臣より認定を受け「公益社団法人」となった。これを記念して、IR実施法案の審議が注視される中、与野党から国会議員6氏をパネラーに迎え、約200名の参加の中、喫緊の課題である「ギャンブル依存症対策法案」への議論を深めた。

IR推進法の成立により、ギャンブル依存問題がクローズアップしたが、今、過度の依存に本当に苦しんでいる人とその家族(関係者等)に手立てするため、一刻も早く対策すべきと警鐘を鳴らすシンポジウムは、約2時間余議論を交わした。冒頭、田中代表は、「今国会、私たちにとって重要な意味があると思っています。長年の懸案である『ギャンブル等依存症対策基本法案』が成立するかどうか、ハラハラ、ドキドキ見守っているような状況です。本日は、与野党関係なく同法案にご尽力いただいている国会議員の方々に集まっていただき、より良い法案を作っていただき、またIR実施法案の今後について議論していただけたらと思っています。今、カジノへの入場料、入場回数が論点となって話題にされていますが、本当の問題が何なのか、真に必要な対策は何かをご理解していただければと思っています」と訴えた。

【シンポジウム】(以下・箇条書き)
オブザーバーは精神科医の松本俊彦氏、田中代表の司会の中、登壇した国会議員6氏を紹介。与党IR に関するワーキングチーム(WT)の座長である中谷衆議院議員(自民)、同WT事務局長の熊野参議院議員(公明)、IR実現に意欲を示す馬場衆議院議員(日本維新の会)、現在のギャンブル等産業の責務を重視する大西衆議院議員(希望の党)、パチンコ問題を切り口として、まず対策スタートすべきという高井衆議院議員(立憲民主党)、医師であり、様々な依存への対応が必要という薬師寺参議院議員(無所属)が対策法の必要性について討議した。

■まず、依存問題とIR実施法案へのスタンスについて議員に聞いた。
・中谷議員/「アルコール健康障害対策基本法案」成立の実績をかわれ、今回、同じような方向で与党案を作成した。まだ議論できる国会の状況ではないが、内閣委員会では、閣法が優先されるのが常だ が、議員立法の同法案の趣旨にたち、優先審議への理解を促し、丁寧によく話し合って成案に取り組みたい。
・熊野議員/依存症法案は、与党案、野党案が提出されている。与野党で議論を深めたい。IR実施法案は、与党IRWTで論点をまとめ、法案審査中と報告。
・馬場議員/世界で勝負できる、観光・雇用創生、地域振興等に資する施設を日本に作るため、IRを実現したい。依存症法案は、IRがまだできていない状況で深刻な問題、複合した依存問題も心配している。
・大西議員/カジノの依存問題を論議する前に、ギャンブル等市場は30兆円といわれている現状が問題。依存症対策の財源は、そうした事業者にしっかり負担させるべき。
・高井議員/田中代表と同じく、パチンコをギャンブルとして認め、その分、依存症対策に力を注ぐべきという考え。しかし、立憲では、IRと依存症法案をセットとした政党スタンス。
・薬師寺議員/依存の問題は、自己責任で済ましてはいけない。実行可能な施策を着実に実現し、病気としても取り扱い対処することが大事。

■国会では、IR法と依存症対策基本法がセットでとらえられている。依存対策が必要というのは共通して理解されていると思う。しかし、基本法を通してしまうとIRが通ってしまうという与野党の駆け引きが影響しているのではないか。
・中谷議員/閣法と議員立法の仕分けがあるが、与野党共通認識が整えば、すぐに成立できる法案。全党が理解いただけるよう努めてきたが、今のところ、同じテーブルについていただける状況では、今はない。純粋に依存症対策としては理解されず、IRが加わると政局としてとらえられてしまう。粘り強く、まずは話し合いをして、修正協議を呼び掛けている。ただ、政治の世界は、政局の世界。大事な事はわかっているが、それを交渉条件の人質にとるという慣習はある。
・高井議員/ギャンブル等依存の対策について持論がある。しかし、わが政党の変遷事情もあり、議論がかみ合っていないのが実情かもしれない。内閣委員会では、重要法案が山積みであり、なかなか議員立法にまで行き届かない状況。
・馬場議員/今ですね、カジノのない日本で依存症は70万人いると推計されている。我々はそれを責任もって考えなければいけない。政党もIRを通さない手段に利用してほしくない。

■重要な法案の際に招集される関係者会議があるが、ヒアリングでお茶を濁さず、ぜひ、依存症法案でも生かしてほしい。政治(政党)の駆け引きとして利用されているように思うが、どうなっているか。
・薬師寺議員/それが政治なのだと思います。ただ、今までテーブルに乗らなかったものが、与党案でも提出されました。大きな前進です。依存症対策基本法は色々忙しい内閣委員会でなくてもいいのではないか。
・熊野議員/公明党としては、IRはIR、依存症対策は依存症対策としてとらえています。

■IRという法案が出てはじめて、依存の問題がクローズアップした。国は依存症の問題だけだと、取り上げる気がなかったとしか思えない。たぶん理由は利害だと思う。その意味では、私たちにとっては複雑な心境です。さて、参加者からの質問があります、カジノできるのですか?
・中谷議員/法律はできます。私は依存症対策に一生懸命取り組む一人ですが、それは私自身もゲーム依存症だった経験を踏まえて、誰にでも身近で大事な問題だととらえているからです。
・馬場議員/IRを実現するためには、カジノというエンジンは必要不可欠です。世界に127カ国カジノは合法化されていて、認知されている情勢です。
・大西議員/カジノは賛成かもしれないが、身近にできるのは嫌だという住民感情がある。どうとらえるべきか。
・馬場議員/カジノは、1万円を握りしめていくような普段着でサンダル履きで行くような場末ではない。紳士淑女の社交場です。だからといって依存に陥る方もいると思います。韓国の廃坑を利用した江原道のカジノは稀な事例です。それを大げさに取り上げ、だからカジノは危険というのは心配を増長するだけであり、正しい理解が必要です。日本のカジノで日本人を当て込んでいるような声がありますが、カジノはハイローラーが対象です。私も学生時代、パチンコにハマっていたので経験者でよくわかっているつもりです。

■パチンコの依存問題対策において、出玉規制など、どう感じていますか。
・高井議員/色々質問(質問主意書含)しているのですが、同時にパチンコ業界の方の声もお聞きするのですが、当局の勝手な出玉規制など一生懸命対応されているようです。リカバリーサポートなど活動されているようです。パチンコ業界の売上を鵜呑みにされている方も多いでしょうが、それは貸玉額であり、還元されている実情をしっかり認識しなければいけません。でも大きな市場なのですから、行政の施策に左右されない、依存対策をしっかりと講じて、依存の問題に苦しんでいる方々としっかり向き合って欲しいと願っています。その意味ではまだまだ足りないと思っています。

■ギャンブル依存症を考える会は、パチンコ業界の方々からは敬遠されていると思います。そういう認識のまま、追い詰められているのはパチンコ業界自身ではないでしょうか。そういう中で、依存問題に関係ない方々が騒ぎ出し、大きな問題としてクローズアップした現在と思います。パチンコ業界が小さくまとまった対策をしているだけでいいのでしょうか。もっとすそ野を広げて、私たちの声も反映してもらい、 実際に悩んでいる方々に手立てできる連携につなげて欲しいと思います。失踪や自暴自棄の末の自殺など、緊急を要する方の場合、即応していただけるような連携(ネットワーク)が図れないだろうかと切に思っています。現場(店舗)で対応できるような大きなネットワーク連携です。出玉規制なんかよりもずっと大事な命にかかわる事です。部外の方が勝手に進めるのではない、真の依存対策が今、必要なのです。
・中谷議員/現場の声を聞かない政策はありえない事です。きちんと進めていきたい。
・熊野議員/しっかりと内閣委員会で進めていきます。
・馬場議員/何事にもメリット・デメリットがあります。それをしっかり見極め進めるのが政治と思います。
・大西議員/パチンコの問題を議論しないでIRの議論に進めるわけがありません。しっかり議論するきっかけにしていきたい。
・高井議員/IRと依存をセットにすべきではない。依存症対策基本法に注力したい。
・薬師寺議員/依存問題を病気として取り扱えるなら、内閣委員会でなくてもいいのではないかと思います。

同会はその後、家族の体験談、当事者体験談、総括、そして今後の活動について呼び掛け、午後9時前に閉会した。

【シンポジウム登壇者】(敬称略)
自由民主党 衆議院議員 中谷元
公明党 参議院議員 熊野正士
日本維新の会 衆議院議員 馬場伸幸
立憲民主党 衆議院議員 高井たかし
希望の党 衆議院議員 大西健介
無所属 参議院議員 薬師寺みちよ

2018.04.19 更新

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